2025年5月11日放送 10:05 - 10:50 NHK総合

明日をまもるナビ
(158)南海トラフ巨大地震(1)被害想定の見直しは

出演者
寺門亜衣子 
(オープニング)
オープニング

オープニング。今後30年以内に80%以上の確率で起きるとされる南海トラフ巨大地震。今年3月国の被害想定が全面的に見直された。最大でマグニチュード9クラス。震度7を静岡県から宮崎県にかけて10県で想定。津波は関東から九州にかけて13都県で10m以上。中には30mを超えるところも。死者は最大で29万8000人。前回10年ほど前の想定よりわずかな減少にとどまった。さらに今回の想定では災害関連死を初めて推計。最悪の場合5万2000人に及ぶ。明日を守るナビでは何回トラフ巨大地震を2回にわたって特集。今回はどんな被害が予測されているのか。国の作業部会の主査をつとめた福和伸夫さんが新しい被害想定を徹底的に解説。

キーワード
南海トラフ巨大地震宮崎県災害関連死福和伸夫静岡県
(明日をまもるナビ)
南海トラフ巨大地震 新しい被害想定とは

きょうのテーマは「南海トラフ巨大地震、新しい被害想定とは」。今後30年以内に80%以上の確率で起きるとされる南海トラフ巨大地震。80%以上の確率で起きるとされる南海トラフ巨大地震。今年3月国の被害想定が全面的に見直された。一回目の今回はこの新しい被害想定と前回の想定、どう変わったのかというところを徹底的に見ていく。南海トラフ巨大地震の被害想定や対策を取りまとめた国の作業部会・主査で名古屋大学名誉教授の福和伸夫さんと徹底的に見ていく。福和さんは「今回の想定は、最大クラスの巨大地震」などコメント。南海トラフ巨大地震について紹介。大きな特徴としては最大M9クラス、激しい揺れと大津波が超広域に及ぶ地震だという。この地震で被害を受ける人数は約6000万人(国民の半分)だという。

キーワード
南海トラフ巨大地震名古屋大学大阪府静岡県
南海トラフ巨大地震とは

南海トラフ巨大地震について紹介。日本列島の下にはプレートと呼ばれる大きな岩盤が4つ集まり、ぶつかり合っている。ぶつかり合う場所のひとつが南海トラフ。深い溝になっている。ここでは陸側のプレートに押され続けひずみが蓄積。このひずみが解放されたときに大規模な地震が発生する。概ね100~150年の間隔で繰り返し発生。南海トラフ巨大地震は今後30年以内に80%程度の確率で発生するとされている。新しい被害想定では震度6弱以上が神奈川県から鹿児島県にかけての24府県。そのうち震度7が静岡県から宮崎県にかけて10県に及ぶ。津波は10m以上が関東から九州にかけて13都県。高知県と静岡県では局地的に30mを超える恐れがある。

キーワード
南海トラフ南海トラフ巨大地震宮崎県神奈川県静岡県高知県鹿児島県
南海トラフ巨大地震 新しい被害想定とは

南海トラフ巨大地震の新たな被害想定。死者は最悪で29万8000人。建物崩壊で7万3000人、津波で21万5000人、地震火災で9000人。全壊・焼失棟数は、235万棟。避難者数は1230万人となる。1か月後に1200万人が避難。日本経済に大きな影響を与える。多くの被災地は太平洋ベルトと重なっている。ここには人口の約半分が住み、工業製品の出荷額の約7割をしめる。270兆3000億円の被害。東日本大震災の10倍に被害額であり、国家四歳の2倍以上の被害となる。交通が寸断し292兆円の損害となる。

キーワード
内閣府南海トラフ巨大地震太平洋ベルト東日本大震災

南海トラフ巨大地震の新しい被害想定について、死者数は最悪の場合29万8000人で津波が21万5000人で最多、建物倒壊は7万3000人、地震火災は9000人ということ。前回と比べ8%減だが国の目標は10年間で8割減らす予定だったということ。理由について福和伸夫さんは耐震化が進まなかったこと、津波からすぐ逃げる意識の向上の証拠が見つかっていないなどのだと解説した。建物被害は全壊・焼失は最悪の場合は235万棟、揺れは127.9万棟、津波は18.8万棟など。日本で1年間で作っている建物は70~80万戸なので数倍なので耐震補強しているかのチェックが大事だとした。地震後の避難者数は前回950万人だったが今回は1230万人で国民の1割、経済被害は前回よりアップし270兆3000億円となった。

キーワード
南海トラフ巨大地震
南海トラフ巨大地震 新しい被害想定 ライフライン

南海トラフ巨大地震ライフラインの被害想定をみていく。電力は前回では停電は被災直後2710万戸だったが今回は2959万戸と増加、送電網に加え発電所の被害も考慮したため。水道は上水道断水被害を受ける人は被災翌日で3690万人、全人口の約3割で1か月後も460万人が影響を受けるとされている。設備耐震化は進んだが津波の浸水域が広がったことなどから約10%増となった。通信は固定電話は被害が大きな地域では9割が通話に影響、携帯電話も地震直後は大部分で通話が難しい、解消まで最大7週間程度かかる見込み。

キーワード
南海トラフ巨大地震
南海トラフ巨大地震 新しい被害想定 ライフライン/液状化は

南海トラフ巨大地震新しいライフライン被害想定をみていく。電気は発生直後から北日本をのぞいた40都府県の2950万戸が停電、送電網に加え発電所被害を考慮し約9%増ということ。発電ができないと計画停電で守ることも必要となってくるため自身でできる対策も必要、太陽電池・蓄電池があればしのげるとした。上下水道について、上水道断水は発生翌日で40都府県の3690万人が影響。もう一つ懸念されていることとして「液状化」がある。地盤が軟弱な場所で起こるということ。東日本大震災の時にはマンホールが飛び出るなどがあったが、液状化が広がった場所はガス、上下水道、交通など住み続けることがしばらく難しくなるということ。いざという時のために飲むもの、食べるものは備えておいたほうが良いということ。

キーワード
八潮市(埼玉)南海トラフ巨大地震名古屋(愛知)大阪府東京都東日本大震災神奈川県能登(石川)
1分 防災の知恵

車中泊避難のコツを紹介。車中泊でストレスになるのは外からの視線。窓を紙や布などで覆い目隠しを作る。さらに気を付けたいのが同じ姿勢を取り続けることで起きるエコノミークラス症候群。防ぐためにはこまめな水分補給・トイレを我慢しないことも大切。また、携帯トイレがあると安心。大切なのが体の姿勢。シートを倒したり、段差を段ボールで埋めたりすることで、足を少しでも伸ばして過ごすように。

キーワード
エコノミークラス症候群平成28年熊本地震
南海トラフ巨大地震 新しい被害想定 災害関連死

被災後の避難生活で体調の悪化などが原因で亡くなる災害関連死。過去の災害では相次いでいる。東日本大震災では3800人以上が関連死で亡くなった。熊本地震では地震が直接の原因で亡くなった人の4倍以上。今回の被害想定で災害関連死は最大5万2000人。災害関連死に詳しい関西大学・奥村与志弘教授。東日本大震災などの災害データから関連死の死因と死につながる間接的な要因を分析。避難生活の環境の悪さが関連死につながった可能性を指摘している。例えばトイレ。断水で水洗トイレが使えなくなると劣悪なトイレ環境に陥る。するとトイレに行きたくないと、水分摂取を控え、脱水症状に。その結果、唾液が減り、口の中の細菌が増加、誤えん性肺炎を引き起こし亡くなることも。また、避難所での雑魚寝なども関連死につながる。床で寝ることで大きなストレスを受け、睡眠不足に陥る。その結果、体力・免疫力が低下し、呼吸器系疾患を引き起こす人も。関連師を防ぐために医師や専門家が避難所で対策の必要性を指摘するのがTKB。トイレ・キッチン・ベッドの略。トイレは常に清潔に保つこと、キッチンは温かい食事、ベッドは雑魚寝を避けて就寝環境を整備することなどを指している。

キーワード
南海トラフ巨大地震平成28年熊本地震東日本大震災災害関連死脱水症状誤えん性肺炎関西大学
南海トラフ巨大地震 新しい被害想定 災害関連死/新しい被害想定

災害関連死に関して重要なのがTKB。T・トイレ(衛生)、K・キッチン(食事)、B・ベッド(睡眠)。最近ではTKB+Wとも。W・ウォーム(暖かさ)。どう避難所環境を維持するかも重要。NHKは「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」指定の14都県139の自治体を対象に避難所で必要な備蓄に関するアンケートを行った。96%に当たる134の市町村から回答を得た。冷暖房機器、トイレ、ベッドの備蓄が十分ではないと答えたのは125自治体(93%)。今回の被害想定については避難者についてのデータも。医療機関で受け入れきれない患者15万5000人、人工透析が必要な人のうち停電や断水の影響を受ける人12万人、人工呼吸器を在宅で利用している人のうち停電の影響を受ける人6700人。関連死対策はこれから本気になって取り組まなければいけない。岡田は「明日の自分や周りの少なからず手の範囲の届く人を守るには今日の自分の選択肢が大事だと改めて思った」等と話した。

キーワード
日本放送協会災害関連死
次回予告

「明日をまもるナビ」の番組宣伝。

© 2009-2025 WireAction, Inc. All Rights Reserved.