- 出演者
- 池上彰 にしおかすみこ
オープニング映像。
今回、1988年放送「NHK特集 どんなご縁で ~ある老作家夫婦の愛と死~」を再放送。認知症の症状が現れた妻との日々を克明に綴った私小説をもとに作られた番組。ゲストは認知症の母などとの暮らしを綴ったエッセイを出版しているにしおかすみこ。当時、認知症は「痴呆」「ボケ」などと呼ばれていた。今回の再放送でも当時のまま放送。
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- NHK特集
1988年、中野区で作家の耕治人が亡くなった。それから半年、耕の原稿をまとめ全集を作る作業が進められていた。
ナレーターによって耕治人の小説「天井から降る哀しい音」の一節が読み上げられた。耕治人は1906年に生まれた。耕は私小説を得意とし妻との生活を元に小説を書いてきた。しかし3年前に妻がボケを発症したことから、それを元に老夫婦の葛藤を描き注目された。小説には妻が火事を起こした事への事が書かれていた。
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- 一条の光/天井から降る哀しい音耕治人
耕治人は上京後ヨシさんと結婚。結婚以来、二人は絵の先生を相談相手にしていた。画家の中川一政さんは当時は相撲を取って遊んでたという。
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宮崎県・新しき村で武者小路実篤が「理想郷」を目指す村を設立した。当時16歳だった耕さんはたったひとりでこの村を訪ねた。しかし、若いことを理由に、村で暮らすことができなかった。その後、中川一政を訪ね作家の一員となった。耕治人とヨシさんが結婚した後、ヨシさんは専業主婦となった。耕さんは、独身を貫き通すと語ったヨシさんを口説き落とした。当時の婦人雑誌は幅広く読まれた。ヨシさんもその編集者だった。耕さんが最初に出版した小説はヨシさんとの夫婦関係を綴ったものだ。出版社を辞めたヨシさんは多岐にわたり仕事を行った。
耕治人は74才の時不治の病にかかった。その際に墓参りに向かった際、ヨシさんは「帰ってくれるまで待ってます」と声をかけてくれたそう。耕さんが過去に病気を負った際に、ヨシさんが必死に看病してくれたそう。その後、耕さんは再度、宮崎県・新しき村の武者小路実篤のもとへ向かった。
ヨシさんのボケの症状が次第にひどくなり、俳画の仕事をやめることになった。ヨシさんが最後に描いた絵は、穏やかな観音様の絵だった。ガスコンロが上手く使えなくなった奥さんのために、ガス警報器が取り付けられた。ある晩、ボケたヨシさんを世話する耕治人の生々しいエピソードが語られた。奥さんがボケてから、耕さんは茶釜でお茶を飲むことが唯一の楽しみになった。
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昨年夏から舌に激しい痛みを覚え、ガンが発覚。入院手続きをした。奥さんは老人ホームに。結婚以来初めての別居となる。入院当初は噛み合わせるだけで痛くて、薬を飲んで、流動食しか食べれなくて辛かったという。体は衰えていくばかりで、手術の代わりに放射線治療を決断。物に憑かれたようにちょっと書いては臥せったり見上げたりするようになっていたという。入院から二ヵ月目に奥さんとようやく面会でき、看護婦さんが車椅子にかけた家内をつれてきてくれたという。脇には年配のご婦人が付き添っていて、「奥様は私とよく話している。奥様、ご主人ですよ」と声をかけた。家内はにこにことなにか喋っているが入れ歯がないから何を言っているのかわからなかった。手を握ると冷たく、涙が出た。ティッシュを取ろうとしてもうまく行かなかった、家内はポケットから紙を探そうとしていたという。何度目かにご婦人が「ご主人ですよ」と声をかけたら、「そうかもしれない」と低く確かな声で答えた。
ガンで亡くなった耕治人が最後に綴ったノートには、「真夜中の三時頃から息苦しく、ベッドの上で座ったりうずくまったりしている。たんが切れないか、我慢できずブザーを押す。舌がんという言葉が何度も浮かんだことを思い出す。次の作がかけるかどうか不安である。書けなくても仕方がない気がする。あと12日で正月、82歳になることを考え、老人ホームの家内も82歳になる」と書かれていた。食べれなくて喋れなくても、小説を書いていたことに中川は感心したという。僕だったらワーワー言ってるだけだったかも、と話す。妻は「主人は面白いの」と語っていた。
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ここまで、1988年放送「NHK特集 どんなご縁で ~ある老作家夫婦の愛と死~」を再放送。認知症の家族を持つにしおかは「認知症に差別的だった当時、認知症の妻について書いたことがすごい」などコメント。番組放送当時は「認知症」という言葉がなく、介護保険制度もなかった。令和4年度の段階で、軽度でも認知症の症状を持つ人は1000万人超。にしおかは家族の介護が辛かった当時、高いランチを食べるなど息抜きを欠かさずやっていた。そのころ、母から「来年はもっとひどくなる」「それでも勘弁してちょうだい」「迷惑かけます ごめんなさい」との手紙をもらうなど、しっかりしている一面もあったという。このことから、「その人を見てリスペクトすることが大事」「認知症について知るよりも その人について知ることが大事」など話した。
厚生労働省の調査によると、同居して介護するケースのうち「老老介護」の割合は63.5%。岐阜県に住む桐山淳さん(86)は、81歳の妻を自宅で介護している。妻は67歳でパーキンソン病と認知症を併発。介護保険制度を使い、入浴やリハビリなど多様なサービスを受けている。痰の吸引や食事の用意は淳さんが行っている。「楽しみもある」「彼女がここにいてくれることが私の生きがい」など話す。
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