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オープニング映像。
鉄は強度を高めるため、多くは炭素を加えた合金・鋼が使われている。鋼を作る工場では鉄くずを電気炉で溶かす。鉄の温度は1600℃を超えるため、炉や受け止める鍋の中には耐火物が欠かせない。耐火物は天然の鉱物や自公的に製造した原料を配合して固めてつくる。代表的なものが耐火れんが。耐火物が発揮されるのは熱に耐える機能だけではない。ガスを吹き出し溶けた鉄を撹拌し不純物を取り除く役割を果たす。より良い品質の鋼を作り出すために、耐火物の改良や改善を続けてきたのが今回のガリバー・TYK。
TYKは年商300億円、従業員数896人。国内に主力工場を3つ、海外の4か所に工場を展開している。耐火物の代表的なものは耐火れんが。赤れんがは強度や吸水性に優れるが高温には耐えられない。耐火れんがは独自に配合した材料をプレス機で押し固めて成形する。れんがの材料が空気中の水分と反応しないよう、工場内の温度や湿度を管理している。耐火れんがに使われる材料は数100種類にのぼる。酸化クロムが多い場合は緑色が濃くなり、2000℃以上の高温にも耐えることができる。酸化クロムを少なくすると薄い緑色や茶色になって、耐えられる温度は1600℃程度になる。材料を変えることで耐熱性・耐摩耗性・耐衝撃性など、さまざまな用途に合わせた特性をつくり出すことができる。
耐火れんがは長さ100mの窯で10日以上かけてじっくり焼くことによってできる。中有深部の温度は1800℃以上になる。長い時間をかけてれんがを焼くことで急激な温度変化による割れを防ぐ。また、熱が均一に当たるよう、れんがの並べ方も工夫している。耐火物には特殊な形状をしたものもある。「ポーラスプラグ」と呼ばれる耐火物は溶けた鉄を撹拌したり不純物を取り除く工程で使われて、窯の底に設置される。窯の底からガスを噴き出すことで溶けた鉄を撹拌する。不純物は小さな泡とともに上昇して取り除かれる。TYKのでは小さな泡をより多く出すため、穴の大きさを0.1mmに調整。穴の大きさを均等にして数を増やしたことでガスの通りを良くし不純物を取り除く技術を確立した。
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1929年に創業した牛込製粉工場がTYKの始まり。当時は粘土を採掘・粉末状にして製鉄会社に納品していた。1947年に耐火物の生産を目的に東京窯業を設立した。高度経済成長期に入ると鉄の需要が急増、鉄の製造方法の進化が会社の成長を後押しした。
TYKが製鉄業界に大きなインパクトを与えた製品が「ロータリーノズル」。溶けた鉄を送り出す量を調節するため、便の役割をする耐火物だ。部品の交換頻度を減らし操業を止めないというニーズに答えるため開発に着手した。以前は穴が1つあいた2枚のプレートをスライドさせていたが、TYKが開発したのは穴が2つあいた円形状のプレート。穴にかかる負荷を2つに分散させることでプレートの交換頻度を半分程度に減らした。1970年代に入ると海外に拠点を展開。1988年、会社の呼称を「東京窯業」から「TYK」に変更した。耐火物が売り上げの7割を占めるが、ファインセラミックスなど新素材の活用や技術革新にも力を注いで新たな領域への市場を作り出している。
TYKの研究所では30年以上前から水素の濃度を測るセンサーの開発を進めてきた。水素を測ることでアルミの中に不純物がどれだけ残っているかわかるという。水素センサーは大気中の濃度も測定できる。これまでの水素測定器は誤ってアルコールにも反応していたが、TYKは水素だけに反応する精度の高いセンサーを作り出した。水素の漏れを検知するなど発火や爆発の危険性を未然に防げる。
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知られざるガリバーの次回予告。