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オープニング映像。
石油精製所のプラントでは液体が気体に変化する沸点によって原油からガソリンや軽油などを分離する作業を行う。一般的には沸点が高く価格の安いアスファルトを多く取り出したくないため、高品質な原油を購入して安価なアスファルトの抽出を少なくしている。富士石油ではあえてアスファルトを多く含む安い原油を購入。ユリカ装置を使って安価なアスファルトを熱エネルギーで分解することで、アスファルトの中からガソリンや軽油などの付加価値の高い製品を作り出して利益を得ている。この世界でも珍しいプラントを設計した会社が今回のガリバー「千代田化工建設」。千代田化工建設の2つの強みは大型化技術と触媒技術。
千代田化工建設の年商は5060億円、従業員数は3496人。世界60の国と地域でプロジェクトの実績をあげている。千代田化工建設が生業とするプラントエンジニアリングとは事業計画から資材の調達、建設や運転、解体までプラントすべてに関わる仕事だ。これまで、石油やLNGのプラントを70年以上にわたって作り上げてきた。今、力を入れているのが次世代エネルギー・水素のプラント。水素を運ぶにはマイナス253℃で冷却して液体化するなど手間とコストがかかる。千代田化工建設では画期的な水素の運搬方法を開発中だという。トルエンに水素を結合させることで、常温でありながら扱いやすい液体メチルシクロヘキサンに変える。水素ガスに比べ体積当たり500倍以上の水素を含むことが可能。
千代田化工建設が実証実験をしているのが水素のプラント。トルエンに水素を結合してできたメチルシクロヘキサンは供給地から需要地までタンカーで運ばれて、プラントに移され水素とトルエンに分離する。化学反応を加速する触媒を使って水素とトルエンに分離する。分離したトルエンは再利用される。千代田化工建設では顧客の要望に合わせた触媒を開発している。大型化した水素プラントは2015年からブルネイと日本の間で実証事業が行われて見事成功を収めた。
千代田化工建設は1948年、東京・港区で創立。三菱石油が石油業界や石油プラントの復興を進めることを始め、工事部門を独立させて千代田化工建設として創立した。1965年にはサウジアラビアで製油所の建設工事を行った。LNG事業にも本格参入。プラント建設は大きいものになると完成まで10年近くかかる大事業。その間に予期せぬ社会情勢の変化や賃金上昇などの要因で会社の業績を大きく左右されることもあった。1996年から3年間、赤字を出して経営危機に直面した。培った技術力で経営を立て直した。今、環境対策にも目を向けている。
パラキシレンはペット樹脂の原料となる物質。触媒を使って二酸化炭素と水素を結合させると洋服の繊維のもととなるパラキシレンができるという。アスファルトからガソリンや軽油をつくり出すユリカ装置から出た熱も再利用している。熱が伝わりやすく環境に優しいアンモニアを気化することでタービンを回して発電をしている。
知られざるガリバーの次回予告。