- 出演者
- -
オープニング映像。
下水道が整備されている地域は全国の81%。整備されていない地域の1割では代わりに浄化槽が使われている。地下に設置されているケースがほとんどで、あまり目にすることはない。浄化槽には大きな3つの部屋があって、大きな汚れから小さな汚れまで取り除く。浄化槽の部品に付着している大量の微生物が汚れを食べることによって水が浄化される。この浄化槽を製造・販売しているのが今回のガリバー、フジクリーン工業。浄化槽の国内シェア44%を誇るリーディングカンパニー。
フジクリーン工業の年商は258億円、従業員数は635人。国内に6つの支店、3つの工場、1つの研究所。海外には3つの拠点がある。浄化槽の最初の部屋では軽い固形物は上に、重い固形物は下に沈む。排水の勢いを弱めることで沈んだ固形物を浮上させないようにしている。固形物は1年で約1t溜まり、定期的にバキュームカーで回収される。
浄化槽に入った生活排水にはアンモニアが含まれている。アンモニアは生態系に有毒で、悪臭が人体に影響を与える。浄化槽の部屋に生息する微生物がアンモニアを食べることでより毒性の低い硝酸に分解される。硝酸を別の微生物が窒素ガスに変えて空気中に放出する。浄化槽の中にある微生物の住処となる「ろ材」は表面積のバランスが重要。
浄化槽は土の中に埋めるため頑丈さが必要。使う材料はガラス繊維。最後にシーディング剤と呼ばれる微生物を固めたものを入れる。浄化槽にいる微生物には大量の酸素が必要。そのため、酸素を送るブロワと呼ばれる装置を使っている。フジクリーン工業は浄化槽メーカーで唯一、ブロワを自社開発・製造している。家庭で使われている浄化槽は年に数回メンテナンスをする必要がる。
創業者は家業で建材小売業を営んでいた渡辺鉦一。1961年に富士コンクリート工業を創業、当時はセメントや生コンクリートを販売していた。高度経済成長期は大気汚染などの公害が広がった。水洗トイレが普及する中で下水処理は遅れを取って、河川などの水質汚濁が問題となった。1969年、トイレの排水を浄化する単独浄化槽の生産に乗り出した。1974年にはフジクリーン工業に社名を変更。
フジクリーン工業は1980年に全ての生活排水を処理できる合併浄化槽の開発をスタート。1984年に日本で初めてとなる量産可能な家庭用合併浄化槽を発売した。茨城県の霞ヶ浦は約50年前にはアオコが異常発生して養殖していたコイやワカサギ大量死という問題が起きた。アオコは家庭や工場の排水に含まれる窒素やリンが原因で発生する。フジクリーン工業は2002年に窒素・リン除去型の浄化槽を開発した。鉄は電気を流すと鉄イオンが発生してリンと結びつく。茨城県は窒素・リンを除去できる浄化槽の設置を2007年から義務化している。霞ヶ浦の水質は3割程度改善された。アメリカのロングアイランドは海の水質汚染が深刻化、サフォーク郡は2016年に対策プロジェクトを立ち上げて、フジクリーン工業も参加した。
「技術を開発した後はどんどん海外にも進出をしていきたい」と後藤社長は語った。
- キーワード
- フジクリーン工業
知られざるガリバーの次回予告。