- 出演者
- -
オープニング映像。
LPガスは原油の精製過程や天然ガスから作られる燃料で、成分はプロパンガスとほぼ同じ。タクシーの多くはLPガスで走っている。LPガスはガソリンより安価というのが一番の理由。車両を多く保有するタクシー会社としては年間のコストが抑えられる。さらに、ガス燃料はガソリンや軽油に比べて排気ガス中の有害物質が少ない。ガス燃料を使う車で重要なのがエンジンの燃料噴射装置・インジェクターの性能だという。今回のガリバーはガス燃料供給システムメーカー・ニッキ。
ニッキの主力製品の一つがインジェクター。車のエンジンはシリンダー内部の燃焼室に空気と燃料を送り込んで燃焼させることでエネルギーを発生させて車を動かす。速度などに合わせて適切な量のガスを適切なタイミングで供給するのがインジェクターの役目。期待は圧力を加えると形が変わりやすく制御が難しい。ニッキの年商は84億円、従業員数は502人。海外にも多くの拠点を持ち、売り上げの約58%が海外。ニッキの製品は車の中でもトラックに多く使われていて、得にインジェクターは国内トップシェアを誇る。
ニッキのインジェクターを搭載したトラックは約540kmを週3回の定期便として活躍している。このトラックを所有している大阪の運送会社はすべての車両が環境対応車だという。大型天然ガストラックの普及にはインジェクターの耐久性が特に重要だという。ニッキは従来のインジェクターと大きく構造を変えた。従来のインジェクターは摺動式で液体燃料用と構造が同じだった。弁が開閉する際、液体燃料には潤滑性があり接触面がスムーズに動く。ガスの場合は潤滑性がないので摩耗して、長く使ううちに適切な動きができなくなる。ガス専用としてニッキが開発した弁は吊り下げ式となっているので上下に動く際、どこにも接触しない。ニッキは電子制御装置も自社で製造。ソフト開発まで行なう国内では数少ない企業だ。
ニッキの創業は1932年。日本で最初の気化器メーカーとして設立。気化器とはガソリンを霧状にしてエンジンに送り込む燃料供給装置。当初扱っていたのは液体のガソリンだった。1960年代からはモータリゼーションの波に乗って会社は成長。1980年代、ガソリン燃料車は電子制御が主流に。売り上げも減少の一途を辿って会社存続の危機を迎えた。当時はまだ、ガスを専門に扱う企業は多くなかった。社名もニッキに変更して新たな一歩を踏み出した。クリーンな燃料として注目が集まるガス燃料供給システムを開発して成長を遂げた。
- キーワード
- ニッキ
ニッキの本社工場には様々な評価・試験設備がある。圧縮天然ガス製造装置も持っている。大型天然ガストラックの出力や燃費などを評価する試験では1週間連続でエンジンを動かすこともあって大量の天然ガスが必要。供給設備がニッキにはあるので、燃料を切らさずに安定した測定ができる。ニッキの評価試験では計測係の他に開発設計者も立ち会っているという。
- キーワード
- ニッキ
ニッキが今、力を入れているのが次世代のクリーンエネルギーとして注目されている水素だ。すでに水素用インジェクターを開発。水素タウン構想を掲げる福島・浪江町の水素発電機の実証実験に採用された。
知られざるガリバーの次回予告。