- 出演者
- 渡辺真理
オープニング映像。
4階建て以上の木造建築は中大規模建築とみなされて安全性や耐火性能などの条件が課される。そうした中で近年、木造建築の需要が高まっていて木造マンションやビルは増加傾向にある。中大規模の木造建築を手がけるのはAQグループ。AQグループが手がけた神奈川・川崎市の5階建て純木造ビルは実物大耐震実験で震度7クラスの地震波を6回加振してもほとんど損傷はなく高い耐震性を証明した。厳しい条件をクリアするために繰り返されてきた地道な実証実験の数々。
AQグループは年商695億円、従業員数1592人。国内35拠点、ベトナム1拠点を構え木造注文住宅の設計・施工・販売を行う。本社屋は8階建ての純木造ビル。中大規模の建物をつくる場合、木造は強度などを高めるためよりコストがかかるという。純木造の中大規模建築はコストが鉄筋コンクリート建築の1.5~2倍。一方、AQグループは鉄筋コンクリートの建築費より1~3割コストダウンしてつくったという。ビルの高い強度を示しているのはエントランスにある吹き抜けの空間と多目的ホール。木造建築は広い空間には一定の間隔で柱が必要となるが、壁に独特な構造を施すことで必要な強度を生み出しているという。
中大規模の木造ビルを手がけるAQグループ。強度の秘密は組子格子耐力壁にある。組子は釘などを使わず木片を組み合わせる伝統技法。その技法を耐力壁として活用した。組子格子耐力壁は横と斜めの木材を組み合わせることで一般的な壁のおよそ14倍の強度になる。低コストの秘密は一般住宅用に流通する木材を使用すること。接合部分を増やすことで力が分散され耐震機能がアップするという。そしてもう一つ、巨大な空間を支えているのは柱とはりを組み合わせた構造。はりに使われているのは薄い木材を積層して強度を高めた単板積層材。強度のばらつきを抑え安定した耐久性を保てるという。また端材を使用することでコストを抑えている。木造中大規模で強度と低コストを両立させるのがAQグループのこだわり。
大工一家で育った宮沢さんは15歳で住み込みで大工の修業を開始。19歳の時に親方の会社が倒産し、施主からの仕事を受けるため都興建設を創業。その後木造注文住宅を手がけるアキュラホームブランドを立ち上げて17万棟を超える住宅を建ててきた。ビルの高層化が進み鉄筋コンクリートの建物が増加した中で宮沢さんは木の良さを再認識して木造への思いを募らせていったという。木造でも技術を磨けば強度を高めてコストを抑えることができるという思いで2000年代に中大規模の木造建築の開発に着手。実証実験も兼ねてグループの支店に純木造建築を取り入れた。社員たちは木造建築のメリットを身を持って実感している。
AQグループのこだわりを体現するのは広大な敷地につくられた実験場。
AQグループの約300畳の実験場ではシンプルな構造で強度の高い耐力壁の開発実験を行っている。つくっては壊す地道な実証実験でシンプルで強度の高い壁を目指している。敷地内の一角には試行棟と呼ばれる耐久性などの実証実験のための家屋が並んでいる。木組みだけの建物では経年劣化を検証している。強度の高い壁があることで壁や柱を減らし窓を広くすることができる。こうした壁を住宅に使うことでさらに可能性は広がるという。
AQグループが見据える未来は商業施設、公共施設などの街並みを木造で建てられるようになること。
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知られざるガリバーの次回予告。