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オープニング映像。
金型作りに欠かせない道具が切削工具。切削工具を製造・販売しているのが今回のガリバー「モルディノ」。モルディノの切削工具は1万5000種類以上もあって、プラスチック製品の金型だけでなく自動車部品の金型など私達の暮らしに密着したものづくりを支えている。
モルディノの年商は201億円、従業員数は741人。国内に12の営業所と3つの工場の他、海外にもネットワークを持つ。モルディノの全ての切削工具は超硬合金でできている。超硬合金でできた切削工具は硬さと柔らかさを併せ持つため簡単に折れることはない。
プラスチック製品を作る金型の製造に欠かせない切削工具には硬さと柔らかさが重要。超硬合金の主な原料は炭化タングステン。工具の性能を高めるためには粒子を細かく均一にする必要がある。そこで使っているのが炭化タングステンを粉砕するミキサー。このとき、コバルトというレアメタルの一種を加える。炭化タングステンの粒子をつなげる接着剤の役割と同時に全体に柔軟性をもたせる。粒子が均一になった粉末は刃の材料になる。刃は自社製造した金型を使ってプレスしている。自社で製造することで1000分の1mm単位の精度で形を作っている。プレスしただけではコバルトの力が発揮されずもろい。窯で1300℃以上で10時間以上熱して焼き固める。人工ダイヤモンドが埋め込まれた円盤で刃を磨き上げる。切削工具の刃は金型の削り具合によって微妙に異なる。その数は1万5000種類以上。切削工具を設計するうえで大切なのが削ったときの切りくずの出方。切りくずを残すことなく瞬時に排出しないと金型を刃を傷つける。刃ができると耐久性を高めるコーティング加工を施す。
創業者の紺谷冨吉は1928年、帝国カッター製作所を創立。切削工具のフライスカッターの製造を始めた。1987年には日立ツールに社名を変えてインサートの製造に注力した。独自の営業方法である「技術サービス」を始めた。
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モルディノは顧客の金型メーカーを訪ねた。顧客の要望は工具を交換するたびにそれぞれ精度に合わせてプログラムを再調整する手間がかかるため効率化を図りたいというもの。モルディノが提案した工具は交換しても精度を一定に保つことができるのでプログラムの調整が不要。モルディノでは技術者と営業部員が製造現場の課題をヒアリングし改善を提案する。1993年には野洲工場の操業を開始。エンドミルやドリルの製造に乗り出した。1997年にはドリルメーカー3社を合併して規模を拡大。2020年にはモルディノに社名を変更した。技術サービスが新たな製品を次々と生み出している。
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野洲工場の微細加工室には燃料電池車部品の金型がある。燃料電池車の電池の中にはセパレーターという部品があって、微細な溝をたくさん作ることで効率的に反応させている。従来の切削工具では難しい加工だった。そこで独自に開発したのがIXという切削工具。従来の超硬合金より高い強度と耐久性を持ち合わせ、1000分の1mm単位の細かな加工を今までより長い時間できるようになっ。試験を繰り返し3年以上かけて2024年量産化に成功した。
「何年後もモルディノ製品を使って顧客の想いと夢を形にする、そこに携われるような企業をつくっていきたい」と金子社長は語った。
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知られざるガリバーの次回予告。