2024年3月17日放送 13:50 - 15:00 NHK総合

終わりのない実験〜「世界のオザワ」が追い求めた音楽〜

出演者
 - 
(オープニング)
オープニング

”中国に生まれ、日本に育った僕がそこまで西洋音楽を理解できるか。一生かけて実験を続けるつもりだ。 小澤征爾”。2月6日、指揮者の小澤征爾さんが88歳で亡くなった。華やかな音楽人生のウラにはひたむきに音楽と向き合い表現を探求し続けた日々があった。小澤さんが人生を賭けて追い求めた音楽に迫る。

キーワード
中国小澤征爾
(終わりのない実験〜「世界のオザワ」が追い求めた音楽〜)
終わりのない実験〜「世界のオザワ」が追い求めた音楽〜

2023年9月2日。長野県松本市で年に一度開催される音楽祭。世界中から一流の演奏家たちが集う一期一会の音楽を奏でる。88歳の誕生日を迎えたばかりの小澤征爾さん。この音楽祭を創設し30年以上にわたって総監督を務めてきた。ライフワークとして情熱を注ぎ続けてきたステージ。音楽に命を燃やし続けた。世界の檜舞台で東洋人初となる偉業を次々と成し遂げてきた小澤征爾さん。ウィーンやベルリンなどクラシック音楽の本場で披露した熱演の数々は多くの聴衆を魅了しました。その活躍は自らに課した挑戦でもあった。小澤さんは過去の映像で「僕は実験だと思っている」などと語っていた。1935年、小澤征爾さんは旧満州(今の中国東北部)で生まれた。10歳でピアノを始め、いつしかピアニストを夢見るようになっていた。しかし中学でのめり込んだラグビーで両手の人差し指を骨折。ピアニストへの夢を断念し指揮者を志す。桐朋学園に進学した小澤さんは教育者としても名高い音楽家・齋藤秀雄のもとで指揮を学び始める。世界で初めて指揮の技術を体系化した齋藤メソッド。齋藤秀雄はこのメソッドで小澤さんを厳しく鍛え上げた。たたき、しゃくいなど、体の動きの法則で音楽を表す。さらに齋藤は楽譜の読み方にも独自の教えを徹底する。作曲家が書き綴った音楽の仕組みに目を向けさせた。齋藤秀雄に師事したバイオリン奏者・徳永二男さん、小澤さんの指揮には楽員の心を瞬時に捉えてしまう秘密があるという。徳永さんは「小澤さんは一人一人全部と目を合わせる。目を合わすことで調整できるんですね。三配りとしょっちゅう言われた、気配り・心配り・目配り」などと語った。100人を超える楽員一人一人と目を合わせ心を通わせる。音だけではなく心を合わせて演奏することを大切にした恩師の教えが繊細な音楽を紡ぎ出していた。小澤さんは恩師の意思を継ぎ弟子たちによるオーケストラを創設する。サイトウ・キネン・オーケストラ、小澤さんの呼びかけで世界中で活躍していた教え子たちが集まった。師の教えを体現した逸し乱れぬ緻密な演奏。その音楽性はヨーロッパの主要都市で絶賛を浴びた。

キーワード
ウィーン楽友協会ホールウィーン(オーストリア)サイトウ・キネン・オーケストラジョン・ウィリアムズベルリン(ドイツ)小澤征爾松本市(長野)桐朋学園齋藤秀雄
交響曲 第1番

1992年9月5日長野県松本文化会館。サイトウ・キネン・オーケストラによる「交響曲 第1番」の演奏&指揮の様子が流れた。

キーワード
サイトウ・キネン・オーケストラ交響曲第1番ハ短調作品68長野県松本文化会館
終わりのない実験〜「世界のオザワ」が追い求めた音楽〜

小澤さんは国籍や人種の壁を乗り越え、世界各地で成功を収めた。アメリカ5大オーケストラの1つのボストン交響楽団では歴代最長となる29年にわたり音楽監督を務め、名門楽団の看板を長きにわたって背負う中でひたむきに音作りを重ね、楽譜に書き込まれた作曲家の意図を丹念に読み解いた。楽譜の隅々にまで目を配り、一度、演奏した音楽であっても、何度も向き合うことで表現の可能性を追及し続け、地域や文化を超えた音楽の力を信じていた。小澤さんは「僕が思う悲しみは、この人たちとは違うんだと思ってやっていない。現実というのはもっと高いところにあると思う。」などと話した。

キーワード
シンフォニーホールボストン交響楽団神の現存の3つの小典礼
交響曲 第9番

「交響曲 第9番」の演奏が流れた。ボストン交響楽団の音楽的評価を飛躍的に高めた絶え間ない努力は、小澤さんの音楽をさらなる高みへと引き上げていく。

キーワード
シンフォニーホールボストン交響楽団交響曲第9番
終わりのない実験〜「世界のオザワ」が追い求めた音楽〜

音楽により深い色や味わいを求め、演奏者全員に自由を与えながら思い描くイメージにいざなう。小澤さんは「音楽はちょっとでもリズムがずれるとダメ。音程もちょっと低くてもダメ。子供の時から教育を受けているから、それを壊したら大変だと思ってやっている。ところがある時になると、自然に自分の身に入っていると思う。若いときは恐れの方が大きかったけど、年を取ると自信が出たというか信じてやっていれば皆ついてくるというか、そういうのが少し分かってきた。演奏者が持ってきたものを上手く合わせてあげる」などと話した。ビオラ奏者・川本さんは「合図がどのイメージかという情報をくれる。だから開放される。じゃないと音楽まで支配されると、常に緊張してその瞬間に合わせるので固くなってしまう。だけど最初に情報が来て、一緒に他の音楽家と音楽ができるという自由がある」、バイオリン奏者・徳永さんは「奏でるまでに音楽が頭にあれば伝わるものだという感じ。それからどこに行っても100%の自分を出せるという自信を得た。小澤さんの場合は(タクトを)振ることではなく、振るのはあとでついてくること。頭の中に音楽が出来上がっていて、手は踊るように出てくる」などと話す。世界中の音楽ファンから熱い視線が注がれるウィーンフィルのニューイヤーコンサート。2022年、小澤さんは東洋人初となるタクトを握る。元ウィーン・フィルコンサートマスターのライナー・キュッヒルさんに「彼の実験は成功した?」と聞くと「圧倒的な成功でしょう。その素晴らしさは想像を絶しニューイヤーコンサート史上最高の演奏だった」などと答えた。西洋音楽の世界で頂に登りつけた小澤征爾さん。

キーワード
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ウィーン楽友協会ホールサイトウ・キネン・オーケストラピョートル・チャイコフスキーヨハン・シュトラウス1世ラデツキー行進曲小澤征爾

2010年1月、食道がんが見つかり半年間の活動休止に。再び小澤さんの”命の火”をともしたのは、恩師・斎藤秀雄を偲んで自ら創設した音楽会だった。順調な回復ぶりを見せていた小澤さんだったが、本学復帰の直前に腰を痛めてしまう。医師から許された演奏時間はわずか7分。苦渋の決断を迫られた小澤さんは、チャイコフスキーの弦楽セレナードの第1楽章に情熱のすべてを託す。小澤さんは「仲間ですから。本当に仲間だっていう感じ。すごい嬉しかった。命そのものだった。皆とやっているときは」などと語っていた。仲間と奏でる音楽は指揮者・小澤征爾の命。著書「おわらない音楽」には「中国に生まれ日本で育った僕がどこまで西洋音楽を理解できるのか、一生をかけて実験を続けるつもりだ。おそらくどれだけ時間をかけても終わりはないのだろう。僕はもっともっと深く音楽を知りたいのだ」と綴られている。

キーワード
おわらない音楽 私の履歴書サイトウ・キネン・オーケストラディヴェルティメント第一番 ニ長調 K.136ピョートル・チャイコフスキーヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト小澤征爾弦楽セレナード長野県松本文化会館食道がん齋藤秀雄
弦楽セレナード

「弦楽セレナード」(チャイコフスキー)の演奏風景が流れた。

キーワード
ピョートル・チャイコフスキー弦楽セレナード
(エンディング)
エンディング

エンディング映像が流れた。

(番組宣伝)
プレミアムシアター

「プレミアムシアター 小澤征爾指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏会<1986年>」「小澤征爾&ズービン・メータ指揮 ウィーンフィル来日公演2016」の番組宣伝。

連続テレビ小説 ブギウギ

「連続テレビ小説 ブギウギ」の番組宣伝。

© 2009-2024 WireAction, Inc. All Rights Reserved.