- 出演者
- 草刈正雄
オープニング映像。
京都の桂離宮は17世紀はじめ、八条宮智仁親王により建てられた。その目的は月を見て和歌を詠むこと。月見は貴族の極上の楽しみだった。そのため、桂離宮は月にこだわり抜いて作られている。茶屋 月波楼では月の出と池に映る月の両方を楽しみ、その想いを歌にした。古書院には月を見るための台が大きく庭にせり出している。桂離宮には感覚に訴える“ゆらぎ”が施されている。
十三夜の月は中秋の名月の十五夜に次いで美しいと言われ、少し欠けた月を愛でる日本ならではの風習だ。月波楼から見える月は庭と調和している。月光が庭園を銀色に照らし、道に小石を敷き並べた霰こぼしは星のように輝く。
明治時代になり太陽暦が日本で採用されるまでは太陰暦といって月の満ち欠けをもとに作られた暦が生活のもとになっていた。国宝・天寿国曼荼羅繍帳は7世紀に聖徳太子の妃により作られ、聖徳太子の冥福への祈りが込められている。この刺繍には日本最古の月にうさぎの意匠が描かれている。太陰暦とともに大陸から入ってきた文化だ。平安時代になり、月は物語の中で効果的に登場するようになった。
川瀬巴水は月を好んで描いた。巴水の月の作品には風景は逆光で描かれているという特徴がある。影といって光という意味を表すのは日本語の独特の美学だという。「笠岡之月」という作品はどこにも月が描かれていない。
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伊達政宗の甲冑には大きな三日月が掲げられている。左右非対称のデザインは太刀を振り上げても邪魔にならないように考えたものだ。さらに、この三日月は付け替えられる珍しい仕様で、実戦の時には八日月を使うのではないかという。井伊直政の甲冑にも月の意匠が施されている。
国宝・三日月宗近は平安時代に作られた太刀で、日本でも最も美しい刀と表する人もいる。その特徴は刃物にある三日月模様だ。どうやったら三日月模様が浮き上がるのか詳しくわかっていなかった。刀鍛冶の石田國壽さんは三日月の謎に挑戦した。試行錯誤を繰り返すこと3年、作った刀8振り、ようやく三日月を再現するプロセスが見えてきた。
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