- 出演者
- 首藤奈知子 佐藤一郎
ネット検索や動画視聴、生成AIなどを使うために欠かせない存在になっているデータセンターが首都圏で建設ラッシュになっている。データセンターによって電力需要も急増している。建設予定地では住民とのトラブルも。
オープニング映像。
稼働中のデータセンターは首都圏で200以上あるとされている。作る上で重要となるのはユーザーとの距離。距離が遠いほど通信に遅延が発生するためユーザーの多い首都圏に集中している。
千葉・白井にあるデータセンターを取材。中には数万台のサーバーが置かれていた。サーバー1つが一般的なパソコンの約40台分の処理能力を持ち24時間稼働している。万が一の停電に備えて外には非常用発電機がある。首都圏でデータセンターが特に集中しているのは千葉・印西。約30施設が作られデータセンター銀座と呼ばれている。国内外の事業者が相次いで進出し、市の固定資産税は5年間で約100億円増えている。印西は都心から約40キロと近い上に強固な地盤で災害リスクが低いなどの理由で選ばれている。データセンターの建設ラッシュによって電力需要も急増。データセンターには莫大な電力が必要で1棟で平均5万世帯分を消費する。東京電力の新しい送電設備によって電力の供給量は約5倍になったがそれでも対応が追いつかない状況だという。東京電力が大規模な変電所を新しく作るのは24年ぶり。
近隣住民とのトラブルが各地で起きている。京都府内のデータセンターでは住民が煙や騒音に悩まされている。首都圏でも住民が建設反対を訴えるケースが少なくとも10か所に上っている。いずれもデータセンターが生活圏に近いことが住民の懸念に繋がっている。東京・江東区では住宅エリアの真ん中に高さ50mのデータセンターが建設されようとしている。データセンターと隣接するマンションの距離はわずか3.7m。事業者は住宅説明会を複数回実施し法律や区の条例に基づき対応していると説明しているが住民が納得する状況には至っていない。3月、千葉・印西では住民たちがデータセンターの建築確認の取り消しを求める訴訟を起こした。計画地はマンションに隣接している場所。裁判の主な争点になっているのはデータセンターの法律上の位置づけ。印西市の都市計画ではこの土地は商業地域にあたり大規模な工場などの建設は認められていない。しかしデータセンターは事務所やその他の区分で扱われることが多く建設が可能となっている。データセンターの実態は工場にあたるとして住民たちは裁判で訴えていくとしている。
住民が不安を感じる大きな原因にデータセンターの秘匿性がある。アメリカではデータセンター向けの送電設備を作ったことでコストがかかり住宅向けの電気代が上がった事例がある。アメリカと日本では電気料金の仕組みが違うため一概には言えないが設備投資コストが上乗せとなる可能性も考えられる。データセンターの事業者などで作る業界団体は今月、事業者向けのガイドラインを示した。その中で住民から寄せられる懸念点への対策を取るよう呼びかけている。住民の懸念は気温への影響、火災・油漏れのリスクなどがある。業界団体が対策のポイントとしているのは住民との対話を重視すること。具体的には建設計画の段階からの周知や対話窓口の設置など。千葉・白井にあるデータセンターでは住民からの要望があれば施設内での見学会を開いている。新しい設備を作る度に近隣住民へ知らせることもしている。
住民からの不安の声を受けて印西市では一部エリアの都市計画についてデータセンターの建設を認めない方針を示した。さらに別の2つの駅前も条例を改正し制限する方向で検討してる。一方で法律上、データセンターの定義がないままでは自治体の負担が大きいと指摘し国が位置づけを明確にしてほしいと訴えている。
国土交通省はNHKの取材に対し「データセンターといっても施設によって設備が異なる。ほとんどの施設で周囲への悪影響は確認されていないため建築の基準を一律に厳しくすることは難しい。自治体が地域の実情に応じ条例などで対応することが合理的」としている。
データセンターの首都圏への集中を避けるための取り組みが始まっている。2年後以降、栃木市の土地に県内最大級となるデータセンターが作られる予定だ。国はデータセンターを地方に建設することを推進している。他にも、北海道や秋田県など全国13カ所で計画が進められてきた。首都圏の土地・電力が不足する事態を避けるための地方分散がねらいだ。栃木市の場合、電力インフラが整っていたことが誘致につながった。地方にデータセンターを置くためのカギとなる研究も進められている。「APN」という距離による遅延を少なくする技術だ。従来の回線の1/200まで遅延を少なくできるという。2月に完成し、先月公開された京都府内のデータセンターは、APNを使ったサービスを展開する施設としてつくられた。この技術を活用することで、地方での建設につなげていきたいとしている。
佐藤一郎氏は、データセンターの地方分散は、通信の遅延をいかに短くするかがカギだと話す。そのなかでAPNのような長距離の通信遅延を減らす技術にフォーカスしていかなければ、地方振興にはならないという。また、データセンターは現在のデジタル社会を支えるインフラではあるが、地域住民からすれば迷惑施設という面もあり、データセンターの基準や事業者の監視・監督を行政が進めることで、住民の不安の解消につなげるのがよいとした。
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