- 出演者
- -
重機オペレーターで除雪歴40年の瀬戸進氏を取材。標高約2450mに位置する室堂の雪原の下に広がる道路を掘り出すことを仕事としている。
- キーワード
- 室堂
瀬戸進氏の勤務先は立山黒部アルペンルートのバス道路の除雪を開業当初から請け負っている。除雪作業が本格的に始まるのは2月上旬で、4月の営業開始日までに道路を掘り出す必要がある。ロータリー除雪車を操縦するのは2年目の古栃遼氏(28)。道路を掘り出す上で道沿いに立てられたポール、GPSが頼りだが、樹海では無用の長物と化す。瀬戸氏は長年の勘を駆使し、作業を進めた。3月になると泊まり込みが始まる。20~70代まで総勢11人の除雪隊で作業にあたっていく。古栃氏が最年少。
3月上旬、平地では春の到来を感じられる頃だが、立山黒部アルペンルートの美女平付近では雪が降るなか、除雪隊が作業を進めていた。ショベルカーが崩した雪をロータリー除雪車が取り込み、道路外へ飛ばしていく。2台のロータリー除雪車を操縦するのが古栃遼氏、11年のキャリアを持つ糸孝志氏(39)。前進、後退を繰り返しては道幅を広げていくため、連携が欠かせない。古栃氏は技術の未熟さを痛感し、心が折れかけたというが、糸氏から励まされて踏みとどまっていた。晴天に恵まれると作業は捗るが、天候のコンディション、標高によっては作業を中止せざるを得ない時もある。
3月下旬、瀬戸氏は天狗平で重機を操縦し、パイロットと呼ばれる道筋を引いていた。すると、猛風で雪が削られ、段差ができている部分を発見。瀬戸氏は表情を曇らせたが、重機はゴール地点へ到着した。パイロットをもとに除雪が始まるが、最大の難所が雪の大谷。積雪は20mを超えることもあり、雪壁を傷つけないようブルドーザーを繊細に操る技術が求められるという。
除雪作業の終盤、急な吹雪に見舞われ、古栃氏が操縦するロータリー車が立ち往生したという。瀬戸氏が対応にあたり、事なきを得た。重機が転倒して救助を要請されるよりもはるかにましだという。
アルペンルートの営業再開が近づくなか、ショベルカーとロータリー車で道を拡幅し、除雪作業が完了。瀬戸進ら除雪隊のメンバーは慰労会を催し、下山した。そして、アルペンルートは賑わいの季節を迎え、訪れた人々は雪壁に歓声をあげた。