秋田・横手市で毎月開かれている認知症カフェ。認知症の当事者やその家族たちが訪れ、交流の場となっている。そのカフェのスタッフとして活動している神原繁行さんも認知症の当事者。神原さんが異変を感じたのは5年ほど前。横手市の病院で看護師を取りまとめる看護部長を務めていた時のことだった。会議の時間を忘れたり物忘れが激しくなったりと1人では仕事に支障をきたすこともあったという。違和感を受け、一昨年の秋病院で検査したところ若年性認知症と診断された。看護部長を退いた神原さんは今、作業療法士の補佐として患者をサポートしている。作業の内容を忘れてしまうこともあり、そのため職場の同僚は神原さんに口頭で伝えた上でメモにも残すようにしているという。混乱しないようお願い事も一つに絞るなど、認知症の症状を踏まえつつ神原さんが働きやすい環境を整えていった。そんな神原さんは今年1月、認知症の理解を深めるため当事者みずからが発信するオレンジ大使に選ばれた。2月にはオレンジ大使として認知症の支援に関わる自治体の職員などに講演することになった。神原さんは自身の経験を通して周囲の理解や気づきが当事者を救うと訴えた。周囲の理解が進めば認知症になってもできることはいくらでもある。当事者としてそして医療従事者として神原さんは多くの人に伝えていきたいと考えている。