2009年6月オハイオ州で再婚した夫婦の夫レイモンドと妻テレサが、テレサの孫のヘレナとギャビンと暮らしていた。レイモンドは長年刑務官を務めて、数年前に定年退職。曲がったことが嫌いな性格だった。レイモンドは元妻との財産分与の話をまとめたが、テレサはレイモンドが元妻に金を渡し続けることに納得がいかなかった。一方、テレサの元夫ライルは離婚後も元妻の家を訪れていた。レイモンドはテレサとライルの関係を疎ましく思っていた。
レイモンドとテレサが一緒に暮らし始めた頃、小包爆弾が玄関前に置かれていた。犯人はロバートで、テレサのストーカーだった。ロバートはテレサの元同僚で一方的に好意を抱いていた。ロバートは逮捕され、6年の実刑判決を受けた。レイモンドはロバートが出所してテレサの命を狙うのではと危惧していた。
レイモンドは、テレサの友人のフィリスと、孫の躾を巡って対立していた。ある日、バーベキューパーティーを開いた日、孫の躾を巡って、テレサの弟スコットがレイモンドを殴り、2人の間に亀裂がはいった。この騒動が殺人事件へのターニングポイントになった。
孫の躾を巡って、レイモンドとテレサの間にも亀裂が入った。テレサは近所の家に引っ越し、2人は別居することになった。ある日、テレサはレイモンドが倒れているのを発見。病院に搬送されたところ、瀕死状態だと診断。レイモンドの体内から不凍液の成分のエチレングリコールが検出された。エチレングリコールは神経異常などが起こり、最悪の場合、死に至ることもある。テレサによると、自宅には不凍液が保管されており、車のメンテナンスでレイモンドが使用していたという。テレサは、延命措置を行わないことを決断し、レイモンドは死亡した。
警察は事件性が高いとみて捜査を開始。レイモンドは何者かに不凍液を飲まされ、徐々に体調が悪化。別居から5日後、テレサに発見されて病院に搬送されるが、懸命の治療も叶わずに死亡した。エチレングリコールを利用した殺人の場合、摂取から死亡まで時間がかかるため、日時の特定が困難になるケースもある。捜査官たちはテレサの聞き取りを終えた後、不凍液が保管してあるガレージを調べた。開封済みの不凍液は1本のみだった。また、容器には指紋が残されていなかった。