ネパールで学校を運営するシャラド・ライさん。日本の大学院で国際協力をしながら各地で講演活動もしている。18年前に留学生として来日したシャラドさん、この日は家族4人と一緒に暮らす日本の自宅を訪ねた。中国とインドに挟まれた内陸国ネパールはエベレストなど豊かな自然に囲まれている。ネパールは国内産業が乏しく、人口3000万人ほどだが年間約100万人が中東などで働くため出国するといわれる。出稼ぎ労働者からの送金総額はGDPの4分の1に相当するが、仲介業者を頼って渡航した結果過酷な労働環境に苦しむ人が少なくない。シャラドさんの故郷はエベレストから南に約100km、標高1500mの山岳地帯にある。シャラドさんは農家の長男として生まれ子どもの頃は毎朝片道2時間の水汲みが日課だった。人生の転機が訪れたのは10歳の時。首都カトマンズの私立学校の特待生に選ばれ国からの支援を受けて学ぶことが出来た。シャラドさんは、「自分の人生を作ってくれた国やふるさとに恩返ししたいという思いで学校を作った」と話した。14年前にシャラドさんが作ったトタン屋根と竹の壁の小さな学校。村には学校に行ったことがない親も多く、当初は怪しまれて受け入れてもらえなかったという。シャラドさんは毎年2~3回100軒以上の家庭訪問をし、学校に通う子ども達が徐々に増え都市部から教師を呼び寄せるため宿泊所も作った。日本で寄付を募り校舎もコンクリート製に。8年前には2校目を都市部に開校した。現在合計800人以上の子どもたちが学んでいる。貧困家庭の子どもでも通える学校にしたいと授業料等は各家庭の経済状況に応じて設定している。学校では全員で行う教室の掃除など日本式の教育を積極的に取り入れているほか、授業は基本的に英語で行い小学1年生からIT教育にも力を入れている。若者たちによる激しい抗議活動が起こったネパール、来年3月の総選挙で新しい政権に生まれ変わろうとしている。シャラドさんはネパールの未来について、「ネパールは資源がないので人が資源、次のリーダーになる方々には教育を一番大事にしてほしい、子どもたちには世界で活躍してネパールの産業づくりに貢献して色んなところでリーダーになってもらいたい」と話した。
