大阪関西万博の開幕まで1年。大阪関西万博のシンボルともいわれる大屋根リングについて、素材にこだわる建築家の思いを取材。工事開始から1年、約8割が完成した大阪関西万博のシンボル「大屋根リング」。デザインしたのは世界的建築家・藤本壮介さん。着想を得たのは、京都・清水寺の舞台。デザインしたのは1周約2キロ、高さ20メートルにもなる世界最大級の木造建築物だった。ただ、前例のない挑戦で、現場ではさまざまな課題に直面した。去年、本格稼働したばかりの福島県浪江町にある工場が、木材の大量生産を可能に。場所によって硬さの異なる3種類の金物を独自に開発して実験を繰り返し、組み立てた際の強度の確保に成功。地震大国、日本でも安心して世界中の人たちを迎えることが可能になった。世界ではヨーロッパを中心に、高層や大規模な木造建築物の建設が相次いでいる。背景にあるのは「SDGs」。フランス・パリでは木造の集合住宅も増え、パリ五輪では選手村の8割と一部の競技会場などが木造になる。藤本さんは持続可能な社会の実現へ、万博で大屋根リングを見てもらうことで未来への大きな転換点となると信じているという。