多くの有権者が抱く既存メディアへの不信感。今回その要因の一つとも言えるのが、これまで各メディアが表明してきた候補者の支持を鮮明にしないという現象だ。例えば、リベラル系有力紙の一つ・ワシントン・ポストは先月、大統領選でどの候補も推薦しないと発表。すると、電子版購読者の約10%に当たる25万件が解約されるという事態に。同じくロサンゼルス・タイムズでも。「自分達はこれまでずっと民主党を支持してきた、しかし今回は大統領選挙になったらオーナーが突然中立性を気にするよう言ってきた」と怒りをにじませるのは今回、抗議の辞任をした元論説委員のキャリン・クライン氏。「もしかしたらドナルド・トランプに取り入ろうとしているのかもしれない」と話す彼女にとってジャーナリズムの根幹を揺るがす深刻な問題だったのだろう。こうして迎えた最後の週末。番組が訪れたのは両陣営が最も取りたいペンシルベニア州。民主党の運動員に同行。行われていたのはいわゆる、“どぶ板選挙”だった。ただ、運動員の手にはスマホのアプリが表示され、そこには訪問すべき住宅と住む人数が示されタッチすれば家族の支持政党などの情報も確認できる。民主党のボランティアの2人は、これまで民主党支持者だったはずの家庭にトランプ支持の看板を見ると「もう気持ちを変えることはできないだろう」と語る。その反面共和党支持者だった家庭を訪問すると、民主党への支持を約束してくれた。