COP30が開かれるブラジル・ベレン。会場には朝早くから関係者が集まっていた。先立って開かれた首脳級会合にはヨーロッパの首脳や国連のグテーレス事務総長らが出席した。ただ世界の足並みはそろっていない。世界第2位の二酸化炭素排出国であるアメリカは気候変動対策に否定的となっている。トランプ大統領は気候変動対策に懐疑的な姿勢を強めていて、来年1月の「パリ協定」離脱を表明している。気温上昇は世界各地で止まらず、ことし最も暑い夏となった日本は平均気温が平年とくらべて2℃以上高くなった。またヨーロッパでも40℃を超える記録的な熱波に見舞われた。気温の上昇で今相次いでいるのが“氷河の災害”である。パキスタンでは氷河が溶け洪水が発生。フランスでも氷河が溶けて流れ出し、大量の水と土砂が集落を襲った。温室効果ガスの新たな排出削減目標の提出をしたのは100余の国や地域にとどまった。“世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べ1.5℃に抑える”ことを目標とする中、国連は“各国が新たな削減目標を達成しても平均気温が今世紀末までに最大2.5℃上昇する”という見通しを発表している。各国が協調し、対策加速への姿勢を示せるかが焦点となる。
