ソニーフィナンシャルグループ・森本さんはきょうのドル円予想レンジを141.50円~144.50円とし、「昨日のドル円はアメリカのADP雇用統計が予想を下回ったことで一時143円を割り込む場面もみられたが、その後はPMI改定値の上方修正を受け反発するなど神経質な値動きとなった。本日も雇用統計までは様子見ムードの強い動きが続くと見ている」と話した。注目ポイントには「アメリカ景気後退への懸念は深まるか」と挙げ、「前回の雇用統計では失業率が4.3%まで上昇し、サーム・ルールに抵触したことが大きな話題となった。サーム・ルールとは失業率の過去3か月の平均値が過去12か月の最低値を0.5ポイント上回ると景気後退開始の目安となるという経験則だが、前回の失業率はこの水準を上回ったため、市場のアメリカ景気後退への懸念が急速に強まった。アメリカの雇用は減速傾向にあると言えるが、4月の雇用統計の弱さは一過性の可能性もある。要因の1つは雇用統計の修正期間中にアメリカ南部を襲ったハリケーンの影響。内訳を見ると悪天候による就業不能者数の増加が報告されていた他、テキサス州など影響を大きく受けた州の新規失業保険申請者数が大きく増加するなど、何らかの影響があったと考えられる。ただ、その他の雇用関連指標も弱さが目立ちはじめている点は懸念材料。今週発表された雇用動向調査は求人件数が2021年1月以来の低水準となり、減少トレンドが続いている様子が鮮明となった。また、これまで比較的低位で推移していた解雇者数についても直近7月分は大きく跳ね上がるなど弱さが目立っている。FF金利先物市場における9月の利下げ期待を見てみと、利下げ自体は完全に織り込まれている他、50ベースの大幅利下げが行われる可能性も4割程度織り込み済みとなっている。アメリカ経済への過度な悲観が後退すればこうした大幅利下げへの期待も剥落し、ドル買いが強まるとみられる。ただ、今回の雇用統計が前月より良好な結果となることは市場でもすでに織り込まれているので、ドル買いが続くほど強い結果となるハードルは高いと考えられる」と話した。