核兵器の材料ともなるウラン濃縮を秘密裏に進めていたイラン。2002年に建設が発覚した大規模原子力施設は国際社会から強い批判を浴びた。当時大統領だったアフマディネジャド氏は、西側からの批判に反発し核開発を強化。国連安保理から制裁を受け、その後イラン経済は低迷る。この状況を打破するため2015年、当時のロウハニ大統領がオバマ政権など主要6カ国との間で締結したのがイラン核合意だ。これは経済制裁を解除するなどの見返りにイランは平和利用を除いて核開発を大幅に制限するという内容。核拡散の抑止につながると思われていたが、トランプ政権でアメリカは核合意から一方的に離脱。イランへの経済制裁を再開した。反発したイランは再び核開発を進めてきた。2021年、バイデン政権は核合意を立て直すべくイランとの間接協議を再開したが、イラン・ライシ大統領は「核合意から離脱することで米国は約束と誠実の原則に違反した。」とした。今年2月にはIAEAの調査で兵器級とみなされるウランの濃縮度90%に近いおよそ84%が検出された。イスラエルがイランの各施設に報復攻撃を行うとどうなるのか。黒井文太郎氏は「イランにとっては核武装のチャンスが来ている。自分たちを守るためには核兵器が必要だと正当性を主張する」などと話した。核開発をさらに加速させる恐れがあるという。他の中東諸国への影響は?