シンガポールを訪れているウクライナのゼレンスキー大統領が、アジア安全保障会議で演説した。軍事侵攻のあと、たびたび欧米各国を訪れて、支援の継続を訴えてきたゼレンスキー大統領。直接アジア地域を訪れるのは、去年のG7広島サミット以来。ロシア軍の攻勢が続き、厳しい状況に立たされるウクライナ。1日朝までの一晩に、ロシア軍がウクライナ各地にミサイル53発と無人機47機による攻撃を行ったという。ウクライナのエネルギー相は1日、SNSで、東部ドニプロペトロウシク州や南部ザポリージャ州など、合わせて5つの州にあるエネルギー施設に対して、大規模な攻撃があったと明らかにした。きょうの演説でゼレンスキー大統領は、防空システムなどの軍事支援の継続の必要性を訴えたうえで、外交の重要性を強調。みずからが提唱する和平案の実現に向けて、今月、スイスで開かれる「平和サミット」への参加を呼びかけた。ゼレンスキー大統領は、演説に続いて行った記者会見で、平和サミットへの欠席を表明している中国が、各国に会議に参加しないよう働きかけていると主張し、批判した。去年の広島サミットに続きゼレンスキー大統領が遠く離れたアジアまで飛んできたのは、軍事侵攻が長引く中、中立の立場を取る国々の支持を広げたいというねらいがあった。アジアではロシア制裁に加わらない国も多く、ウクライナへの理解や共感は低下していると言わざるをえない。それだけに、大統領は今月予定されている平和サミットに、多くの国に参加してほしいと強く訴えた。