中国系の動画投稿アプリ「TikTok」に対する風当たりは一層強まっている。アメリカの議会下院は20日、中国の運営会社の「バイトダンス」に対しTikTokの米国事業の売却を義務付ける法案を賛成360反対58で可決した。ただ上院で慎重派が根強いこともあり、売却までの猶予期間は原案の6か月から1年に修正された。今後上院で採決されバイデン大統領が署名する見通しだが、もしバイトダンスが売却しない場合はこのアプリは米国での利用が禁止されることになる。バイトダンス側は法的な意義を申し立てる見通しで、先行き不透明な状況となっている。アメリカ政府とTikTokの戦いはしばらく続く見通しだが、その恩恵を受けるのはメタやアルファベットなど米系のインターネット広告を手掛ける大手と考えている。アメリカで約1億7000万人の利用者を抱えるとされるTikTokはこれまで有力な広告プラットホームとなっていたが、今後は広告スポンサーがこれをきっかけに米系のプラットホームに乗り換えることが予想される。あるソフトウェア会社の調査によるとアメリカの子どもたちは昨年、1日に平均で2時間TikTokを利用していたとされ、もしTikTokが利用禁止となれば、その分の広告枠がフェイスブックやインスタグラムえを展開するメタ、YouTubeを持つアルファベットなどの強豪に流れることになる。また今後利用禁止によってそれだけ長い利用時間が空くとなれば子どもたちの関心がネットフリックスやウォルト・ディズニーのディズニー・プラスなど短編動画以外のメディアに向くとの期待もある。今年は大統領選挙やオリンピックなどSNS利用者のエンゲージメントを高めるビッグイベントが多いこともあり、インターネットの広告の市場は激戦地区となることが予想される。