新型コロナウイルスの感染拡大の教訓を踏まえ、感染症対策の強化に向けて、各国が採択を目指すパンデミック条約の大詰めとなる交渉が、WHO(世界保健機関)で始まった。パンデミック条約は、各国が2年かけて交渉を進め、来月のWHO総会での採択を目指している。29日には条約の策定に向けた各国間の最後の会合が始まった。条約の草案では、締約国は感染症対策のための包括的な計画を策定し、定期的に見直すことや、途上国の対策を支援するため、資金を拠出することなどが盛り込まれている。さらにワクチンや治療薬を途上国でも生産できるよう技術の移転を促し、パンデミックの際には医薬品の製造業者などに対し、特許を緩和したり、妥当な特許使用料を設けたりすることを奨励することも盛り込まれている。会合は来月10日まで続くが、交渉関係者によると、医薬品の特許の放棄などを主張する途上国と製薬会社への影響を懸念する先進国の対立は根強く、期間内に合意できるかは予断を許さない状況。