ワインの一大生産国として知られているフランスは、気候変動の影響で将来的にこれまでのような質の高いブドウが取れなくなるのではないかという危機感がある。フランス南西部ボルドーにあるワイナリーでは、醤油造りが行われている。醤油づくりを行っているのはおよそ400年続く家族経営のワイナリー。醤油づくりはぶどうの収穫が終わり、ワインの仕込みが一段落した11月から始まる。材料は全てフランス産で、日本の伝統的な作り方にこだわっている。共同経営者であるアドリアンさんが醤油づくりを始めたきっかけは、和歌山県にある醤油醸造会社を紹介されたことだった。ワインと醤油は原料は違う一方、発酵させて作るという点では同じ。すぐに話は進み、去年の3月に最初の仕込みが行われた。醤油づくりはアドリアンさんとパートナーのマディナさんが中心となって行っている。仕込みに使う水は地元の硬水を使い、72時間かけて作ったこうじを入れて熟成させる。たるはワインの醸造に使ったフレンチオークのたるを再利用している。フランス料理店では隠し味に醤油が使われていて、シェフたちの関心を集めている。18か月熟成した醤油を知り合いのシェフに試してもらったところ、好評であった。マディナさんは「新しいしょうゆを使った料理を試食して自信がでてきました。」とコメントしている。マディナさんたちは醤油の良さを広く知ってもらうための取り組みとして、地元のマルシェで醤油を使ったガトーショコラの試食を行った。