日銀の短観は、企業に3か月ごとに景気の現状などを尋ねる調査で、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた指数で景気を判断する。大企業の製造業はプラス13ポイントと、2期ぶりに改善した。これは素材関連の企業で価格転嫁が進展したことや、半導体の生産が回復傾向にあるため。これに対し大企業の非製造業はプラス33ポイントと水準としては高いが、前回から1ポイント低下し4年ぶりの悪化となった。特に目立ったのが小売りの悪化で、前回の31から今回は19と12ポイント下がった。円安などによる物価高の影響が大きく、消費者の間では節約志向が強まっている。育児支援に取り組む福岡市のNPO法人が開いた交流会では、20代〜50代までの6人の母親たちは「電気代が上がるのが怖い」「複数のサイトを比較し、店を3か所くらい回った上で購入している」などと話していた。日銀が目指す賃金と物価の好循環が実現するかは、賃金の伸びが鍵を握る。