北海道にある市立函館病院の消化器外科の笠島浩行さんは出勤はいつも早朝から出勤するがその理由は部下10人程度の勤務状況を確認するため。手術の予定表に書かれた帰っての文字は夜間に緊急手術を行った医師に帰宅を促すサイン。金曜日の午前10時には早朝業務の後の笠島さんは二泊三日で奥尻島に応援に向かう。車フェリーで四時間以上かけ、この3日間は宿日直許可という労働基準監督署からの特別な許可で労働時間から除外される。到着後すぐ外来診療を行い、常勤一人で島を守る医師を休ませるという。週末に奥尻島含め月に複数回地方へ支援に入っている。しかし奥尻島には笠島さんら3人が派遣されていたが今年に入り、整形外科の派遣を打ち切って二人程度に縮小された。医師派遣の打ち切りを決断した市立函館病院の森下清文院長は、その背景には救急医療の増加があるという。去年一年間のこの病院の救急搬送は6600件で過去最多に。医師9割が函館市に集中し、遠くまで応援に出る必要があるために移動や滞在の時間が負担になる。こうした中で奥尻島の他にも医師の派遣打ち切りになった場所も。北海道の最南端の松前町は、週1の小児科医の派遣が打ち切りになり町内で小児科医の診察を受けられなくなった。街では総合診療医により診察などで当面はしのいでいくしかないという。