ことし3月、海外遠征から帰国した平野歩夢は青森・鰺ヶ沢町で合宿。シーズンの集大成となる世界選手権が9日後に迫っていて、演技構成に新たな技「スイッチバックサイド1260」を組み込もうとしていた。通常は利き足の右足を前にして滑るが、スイッチは左足を前にして助走、進行方向と逆向きに回転する。3年前から取り組んできたが課題として残っていた。2017年3月のUSオープンで試合中にバランスを崩して転倒。膝の靭帯と内臓を損傷する全治3カ月のけがを負った。ピョンチャン五輪まで1年を切っていたが平野は諦めずに復活。五輪では当時最高難度の技を連続で決めたが、ショーン・ホワイトに同じ技を決められて金メダルは獲れなかった。さらに難度の高い「トリプルコーク1440」に取り組み、北京五輪ではショーンの壁を乗り越えて金メダルを獲得。新たな技の特訓は連日5時間に及んだ。