中国で全人代が始まった。経済が減速しているにもかかわらず、国防費は増えている。軍の近代化を推し進めて、世界一流の軍隊への歩みを進めようという意思表示だといえる。最大の関心は、国際情勢の大きな変化、特にトランプ政権が、国際社会への関与を急速に縮小しようとしていること。最近、中国はインド太平洋地域に艦艇を派遣するなどしてきた、NATOの国々の動きに神経をとがらせてきた。しかし、トランプ政権がもたらしたウクライナ情勢の変化で、今後も続くかどうかは不透明と言わざるをえない状況。中国は、アメリカのインド太平洋地域への軍事的な関与にも変化があるのか見極めながら、アメリカが引いたあとの国際社会の空白を自国の利益に結び付けようと、着々と準備を進めている。