前田が選ぶ最高の一戦は2010年5月の広島と日本ハムのセ・パ交流戦。広島の前田にダルビッシュはその時ある決断をした。前田はその時自身の3打席でダルビッシュが全球種を投げてくれたと語った。さらにその後ダルビッシュのブログでは自分に全球種を見せるために投げたと書かれていて、試合中にまさかそんな意図があるとは思ってもみなかったという。ダルビッシュはその思いについてはこれからセ・リーグ背負って他の投手を引っ張っていく存在になる投手になってもらいたいという思いがあるとし、自分のレベルを知らせるべく前田の打席には右打者に投げる球種をほとんど投げたとした。前田はこの年に投手三冠を獲得した。
3人目は中村剛也。現役最多の477本塁打で、ダルビッシュからも最多となる3フォーマーを放った。その選んだ試合は2011年の日本ハムと西武の試合。ダルビッシュはこの試合、中村に対し徹底したストレート攻めをし、3打席連続ストレートでうちとった。9回裏2アウトの最後の一球で、スライダーがきたという。中村は次の日に本人に最後はスライダーだったと伝えるとまっすぐを投げたら打たれるような気がしたと話していたという。ダルビッシュはこの試合、3安打無失点完封。打者31人に対し15奪三振とした。
小久保裕紀はソフトバンクホークスの監督。選んだ試合は2-011年7月のソフトバンクと日本ハムの試合。4年連続防御率1点台と、圧倒的な成績を残していたダルビッシュ。そのダルビッシュに対し小久保は、初回からタイムリーを放つ活躍で、同点を迎えた8回裏には1アウト3塁2塁のチャンス。小久保は当時の試合について今日のゲームでポイントになるのは自身のこの打席だと思っていったらヒットだったという。さらにその年小久保はダルビッシュと一緒にオールスターに選出されたがダルビッシュはその年はスプリットを投げなかったので理由を聞くと、来年からメジャーに挑戦するので一つの球種を減らした上で昨年までのような最多勝のタイトル争いができる力量でメジャーに挑戦したいと言っていたという。その年のダルビッシュは勝利数リーグ2位の奪三振王。
中日ドラゴンズの涌井秀章は西武、ロッテ、楽天で最多試合勝利投手を獲得した。高校時代から世代を代表する投手同士だったという涌井秀章とダルビッシュ。プロでも白熱の投手戦を行ってきた。最高の一戦は2008年3月に行われた日本ハムと西武の試合。互いに一歩も譲らず、ダルビッシュは9回7奪三振無失点。涌井も9回6奪三振無失点の投手戦。試合の決着は10回裏。涌井は10回1失点でサヨナラ負けとなった。しかしもう一つ忘れない試合にはメジャーへ移籍する前の試合。2011年10月29日のクライマックスシリーズの日本ハムと西武の試合。涌井は2失点6回途中で降板。ダルビッシュは7回1失点。先にマウンドをおりた涌井はピッチングが変でごめんと謝罪。またダルビッシュが日本に戻ってきて投げ合うのを期待しているという。