公営墓地・今福霊園(和歌山市)では誰も訪れなくなり、放置され荒れる墓が増えている。この墓地では元々契約した人や親族などとも連絡が取れなくなった墓を無縁墓としている。無縁墓は約150。公営墓地を運営している県内の18の自治体を調査。8つの自治体が公営墓地に無縁墓があると答えた。このうち和歌山市、美浜町、白浜町、すさみ町では無縁墓の可能性が高いものが少なくとも520件に上ることがわかった。新宮市、串本町など4つの自治体は“無縁墓はあるが調査はできていない”としている。宮下典子さん(和歌山市)は“無縁墓は他人ごとではない”という。少子高齢化が進むなか、無縁墓は今後も増えるといわれているが対策は簡単ではない。和歌山市では無縁墓に3年以上、立て札を置き、使う意志がないことを慎重に確認。そのうえで墓石の撤去や安置した遺骨を移動する対応に踏み切るが確認作業に時間がかかり、墓の撤去はこれまでに約20件にとどまっている。シニア生活文化研究所代表理事・小谷みどりさんは「供養の在り方を考え直す必要がある」と指摘する。