裁判が続く一方で、今ある現実的な課題に対応しようという動きの1つとして、同性カップルに証明書などを交付するパートナーシップ制度がある。ただ、原告の弁護団は、法律上、同性婚が認められないことで、扶養控除などの税制上の支援が得られない、夫婦として遺産相続ができないなど、制度面で乗り越えられない壁があると訴えている。訴えられた国は裁判で、国の家族の在り方の根幹に関わる問題のため、幅広い国民的議論が不可欠で、国会の裁量に委ねられている、と主張している。国土舘大学・百地章名誉教授によると、憲法24条を司法による解釈で乗り越えるには限界がある。結婚というのは本人たちの人権問題だけでなく、子どもを含めた国の家族制度に関わる問題だ。これまで違憲とした判決には、こうした視点が欠けているなどとしている。今後、来月には名古屋と大阪の2つの高裁で判決が出される予定になっている。高裁での判決の積み重ねが、最高裁に影響する可能性を指摘する専門家もいた。元最高裁判亊・千葉勝美弁護士は15人の裁判官で議論する大法廷に回されることになるだろうとしていた。これは、法律や命令が憲法違反なのか判断する特別な法廷。