福島・いわき市・いわき震災伝承みらい館。市は、約5000点の津波遺留品を保管してきたが、震災14年を迎え保管を終えることを決めた。終了の周知もあり、2月下旬の1週間で、15人ほどの持ち主や遺族が遺留品をさがしに訪れた。津波で行方が分からなくなっていた家族のアルバムをさがしに来た親子。遺留品のリストを調べると、生前の父親の写真や震災で亡くなった祖母の写真が見つかった。妻と2人の娘が今も行方不明だという男性は、娘の持ち物をさがそうとするが、展示室の中に入ることはできない。遺留品を目にすると、家族の光景が脳裏によみがえる。男性は「あの地震さえなければこんなことなかった」と語った。今も直視できない現実。ただ、前に進まなければいけないとも感じている。いわき市で14年続いた遺留品返還の取り組み。保管終了の理由について、いわき震災伝承みらい館・箱崎智之副館長は「物品の劣化や保管場所にかかる経費という部分はあって」と語った。いわき市内の寺院で引き取り手のない津波遺留品の供養が行われた。被災3県の沿岸自治体の約6割で津波遺留品の保管は行われていない。保管が終わった施設でも、多くで遺留品を写真に撮って、デジタル情報の形で保管し、記憶を引き継いでいこうという取り組みは続いている。