この日、住友生命で行われていたのは第3の入社式。これは全員60歳の“新人”シニア社員に向けた入社式。定年後の再雇用は年収が下がることが一般的だが、この企業ではシニア社員をスペシャリストと呼び、組織での役割や働きぶりに応じて最大1.5倍ほど年収アップが可能。シニア社員の活用は様々な企業で見直す動きが加速している。玩具大手のバンダイは来月から定年後に再雇用を希望した61歳以上のシニア社員の年収を平均で約6割引き上げると発表。あいおいニッセイ同和損保で働く千葉晃久さん(61)。千葉さんは去年、転勤先の長野で定年を迎えたが、今も家族の元に戻らず仕事を続けている。活用したのがシニア社員に向けた「手あげ転勤制度」。この会社ではシニア社員が希望し、会社側が認めた場合の独自の転勤制度を4年前から導入している。シニアとしてのアドバンテージは人脈。一緒に働く同僚は最後の頼りどころでもあるし、気軽に相談がしやすいなどと話した。千葉さんは娘がまだ大学1年生なので、大学生活に必要なお金も必要。ただお金のためだけに働いているわけではない。そういう働き方を許してくれるこの会社が好きだと話した。