東日本大震災からあすで15年。事故がおきた東京電力福島第一原発では今も1日約4000人もの人が廃炉作業にあたっている。廃炉作業の最前線を取材。水蒸気爆破がおきた1号機原子炉建屋の最上階は放射線量が高い状況で瓦礫が剥き出しとなっており、水面の下には392本の核燃料が残されておりこれを取り出さなければ廃炉は進まない。4年前から使用済み核燃料を取り出すためのプロジェクトが進められていた。午前3時半、早朝の風の弱い時間帯に作業を行うため原発から南におよそ20キロにある拠点に作業員が集まった。東京電力の強力作業員としてこの計画に参加している渡辺諒さん(37)。福島・いわき市で生まれ育った渡辺さんは中学・高校生の3人の息子を育てる父親。事故直後から福島第一原発で働き、今のしごとは建屋の最上部で作業する“とび職”。家族が寝ている間に家を出る生活が4年間続いているという。今から15年前の3月12日、福島第一原発1号機が水素爆発した。1号機原子炉建屋は手つかずのまま。核燃料を取り出すためにはがれきや鉄骨を取り除く必要がある。しかし動かすと放射性物質が飛び散る可能性がある。4年前に考えられたプロジェクトでは、原子炉建屋を長さ66m高さ68mの大型カバーで覆うというもの。屋上には屋根をもうけ放射性物質が飛び散ることを防ぐ。カバー内にはクレーンも設置、可動式屋根で機械の出し入れが可能にするという。大型カバー設置は約110人の作業員が集まり渡辺さんも含めて開始。この日は重さ約103トンの屋根の取り付けが行われた。渡辺さんは原子炉建屋の最上階で巨大屋根を固定する作業を担う。作業を難しくしているのは高い放射線量。被爆を防ぐためにマスクと防護服の間に隙間ができないよう粘着テープで覆う。2時間近くこの姿で作業を行うという。巨大屋根の取り付け場所は建屋の最上階で地上約60m。巨大屋根は国内最大級の大型クレーンで釣り上げられ最上階へ到達。大型クレーンのある場所も放射線量が高いため人が長時間とどまれず操作は遠隔で行われていた。長時間とどまることはできないため作業時間は約2時間。巨大屋根をロープで引き寄せ所定の場所にもっていく作業などが行われこの日の作業は終了。渡辺さんは作業を無事終えホッとした様子をみせた。1月19日最後の巨大屋根の設置が完了。当初は2年前に完成する計画だったがトラブルが相次ぎ完成時期が延期となっていた。1号機の使用済み核燃料の取り出しは2027年度以降を計画している。事故から15年、渡辺さんは「長いようであっというま」「まだまだ長い道のりだと思う」などと話した。廃炉作業は今後何十年も続く。
