人手不足が深刻な山形県では、高度なスキルを持ち副業で働きたいと考える県外の人材を募り、県内の企業とマッチングするユニークな取り組みを始めている。山形県東根市の部品製造会社は、機械の制御に欠かせない制御盤を作り業績も安定しているが、人材難が課題だった。初めてネットで求人を行うことにしたが、魅力的なホームページを作れる社員がいなかったため山形県の支援制度を活用。企業が仲介業者に依頼して副業を希望する人材を紹介してもらう際に、仲介業者に支払う手数料を県が全額負担するというもの。紹介されたのは、ホームページ制作のスキルを持つ県外の人材。リモートでやり取りしながらリニューアルされたサイトを紹介。トップページには社長の思いを打ち出し、社員のインタビューも掲載するなど会社の魅力が伝わる内容に生まれ変わった。リニューアルから3か月、求人への応募もあった。同じ制度を利用して副業人材に山形まで足を運んでもらい、事業の運営に深く関与してもらったケースもある。建具や家具などを製造・販売する会社は、使われなくなった酒蔵をカフェや作業スペースなどに改装、観光客や地元の人などが集まる交流施設を目指した。そこにやって来たのが、東京の大手航空会社で働く清水佑亮さん。本業では、航空チケットの販売戦略を考えるマーケティングを担当。培ったスキルを生かし、地域貢献したいと副業に応募した。清水さんが提案したのが、作業スペースの利用料を最大でも990円に抑えることだった。1000円を超えないことで、購買意欲を刺激するというマーケティングの考え方を生かした。オープン初日、清水さんのねらいどおり多くの客が訪れた。今後は外国人観光客の集客に向けて協力していく予定。今回紹介した「やまがた未来(みら)くる人材活用事業」、昨年度は県の支援事業で52人がマッチングされて、今年度も継続しているという。