東京電力ホールディングスのことし3月期の決算は、グループ全体で売り上げが6兆9183億円と、前の年度より14%減少したが、最終的な利益は前の年度の1236億円の赤字から一転、2678億円の黒字を確保した。火力発電の燃料となるLNG(液化天然ガス)や石炭などの価格が下落し、調達にかかるコストが減ったことが利益を押し上げ、2年ぶりの黒字となった。東京電力ホールディングス・小早川智明社長は「経営状況が抜本的に改善されたという状況ではない、柏崎刈羽原発の再稼働に注力するとともに、安定的な電気供給を進めていくことが重要、実現に向けて取り組んでいく」と述べた。東京電力は原発の6号機と7号機が再稼働すれば、1基あたり1100億円の収支改善効果があるとしていて、経営への影響は大きいものがある。福島第一原発の事故に伴う除染の費用を賄うためにも、東電は収益力を高めることが求められている。柏崎刈羽原発の再稼働については、テロ対策で重大な不備や不祥事が相次いだことなどが影響しているため、その時期を見通せる状況にはまだ至っていない。再稼働の行方を見極めながら、企業価値をどう高めていくかが引き続き課題となる。