経済部日銀担当・吉武洋輔キャップの解説。きょうの為替の動きについては、植田総裁は言及してくれなかったが、会見の中では繰り返し今回の決定について、国債の減額を丁寧に進めていくものなんだということを何度も強調していた。なぜ日銀がこのように慎重な姿勢を示しているのかというと、長期にわたる国債の買い入れが異例の状態を作ってしまっているのが理由。日銀の国債の保有額だが、2013年に就任した黒田総裁のもとで、かなりたくさん国債を買い入れてきた。通常はこの国債の買い手というのは、銀行や保険会社などの機関投資家なだが、日本の場合、日銀はこのようにたくさん買い続けたことで国債の実に半分を、中央銀行が保有するという事態になってる。米国と比較すると、FRBの国債の保有割合は2割、日本が特別な状況。これだけこの国債を買い支えてきた日銀が、一転して今度は量を減らすと。そうなると減らすこのリスクというのが、長期金利が上昇するというリスクも出てくるので、日銀は市場参加者の意向を丁寧に聞き取りながら今後、減らす量やペースを決めていこうというのが今回の決定だった。VTRにもあったように、追加の利上げというのが焦点。植田総裁、足元の歴史的な円安水準に対して4月の会見では、それほど警戒感は示してなかったが、きょうは為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっていると少し発言を変えてきた点が私は非常に気になった。円安がこの物価を上げ過ぎてしまうリスクというのを意識していて、場合によっては早めに追加の利上げを行うという可能性も否定しなかった。ただ利上げっていうのは経済を冷やすリスクというのもあるので、今ちょっと個人消費が弱い中では日銀がこの利上げには動きにくいという見方も市場にはある。次の会合は7月の末。日銀の対応が引き続き注目される。