今回訪ねたのは長野県の東部・浅間山の麓にある小諸市。やって来たのは小諸城址懐古園。人力車の引き手を務めている喜楽屋笑太さん。春の訪れを実感できるという場所に案内してもらった。懐古園はさくら名所100選にも選ばれ、これからの時期は10種類以上の桜が楽しめる。早咲きの桜と梅が毎年1週間ほど重なって咲く。地元の草笛保存会のメンバーの小林政利さん。草笛法師・横山祖道は昭和の頃に懐古園で旅人や子供たちに草笛を披露し多くの人の心を癒やしたとされる僧侶。祖道の草笛を受け継ぐのが小林さんたち。毎年春になると懐古園で季節の歌を演奏している。この時期に使うのはマサキの葉。春の柔らかい若葉が優しい音色を生み出す。10人ほどのメンバーの中には中学生も。中学2年生・土屋颯雅さんは学校の授業で興味を持ち練習を始めたそう。続いて訪ねたのは地元で350年続く味噌蔵。この時期しか食べられない味噌がある。標高2000mの雪の中で4カ月熟成した雪中味噌。誕生のきっかけは信州ならではの先人の知恵だった。旨味を存分に味わえる焼きおにぎりを頂いた。掘り出して食べると「春が来たな」って感じがするという。小諸の春ならではの食べ物がいちご。地元でいちご園を営む倉本浩行さんが育てているのは明治時代から作られている品種で御牧いちご。全国でもここにしかない幻の品種。一般的ないちごと比べると小粒で中まで赤い。非常に酸っぱいいちごとなっている。御牧いちごの栽培が盛んだったのは明治~昭和初期。西洋文化の広がりとともにジャム用などとして人気を集めたものの戦争をきっかけに姿を消した。25年前、もう一度復活させたいと地元の人たちが自生していたいちごの苗を発見。今は倉本さんが思いを継いで栽培を続けている。オススメの食べ方は砂糖といちごだけで作るジャム。