能登地方では観光業にも影響が出ている。能登地方の就業者4万9728人のうち、環境業などのサービス業は1万6603人で他業種に比べて最多。長期間の休業で若い人が新しい就職先を県外で見つけて出て行ってしまうと人口流出につながる。熊本地震では震災前から去年の間に人口は約8万人減少している。県外転出理由では「希望職種の仕事が見つからない」という理由が最多で、転出者は20~30代の女性が多かったという。地震後は建設業や保安業の求人が多く、女性が希望する仕事が少なかった。結果的に出生率も大幅に下がり、人口減少が加速した。今回国は企業に雇用維持のための助成金を支給する。「雇用調整助成金」は従業員に支払う休業手当などの一部を助成する制度で、石川・富山など4県の企業が対象。中小企業への助成率は従来の2/3から最大で8割に引き上げとなる。今年3月に北陸新幹線の金沢-敦賀間が延伸となることで、試算では石川県・福井県に合計400億円の経済波及効果があり、観光だけでも300億円の波及効果があるという。観光業再開には道路の復旧や宿泊施設の復旧などと、消費者が安心して観光に行けるまでのタイムラグがあり、それまでどう雇用をつなぎとめるかが重要。中室さんは「短期的には雇調金は重要。より重要なのは長期の支援。熊本では震災後人口流出が起こったが、兵庫・神戸はそうならなかったことから、地震で人口流出が『起こる』のではなく『加速した』と考える。地域の産業の構造や雇用問題を正面から見つめる必要があり、熊本の人口流出の原因である雇用のミスマッチが能登でも起きるのであれば、何らかの政策的対応や企業側の対応が求められる。そもそも『建設業・保安業で女性が働けないのはなぜか』というようなことを考えることも必要」とコメントした。岸田総理は石川県川から伝統産業や観光産業の復興・雇用の維持などの要望があり、月内に取りまとめ予定の支援パッケージについて被災者の声が反映されたものとなるように指示したという。輪島漆器商工業協同組合は組合員の仕事環境の債権や道具・資材の調達などに向けて募金の受け付けを開始した。生産が再開されても販路が寸断されていると売れないのでマーケティングも重要だと渋谷さんは話した。全体を俯瞰で見て先行きを示すことが必要であり、それにおける国の役割は大きい、などと述べた。
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