ヤクルトの5年目、奥川投手(23)。2年目に早くも先発陣の一角として活躍し、チームのリーグ優勝、日本一に貢献。将来のエース候補として大きな期待を受けてきた右腕。しかし、おととし以降、たび重なるけがに苦しんだ。右ひじの故障に続き、足首や腰のけがも相次ぎ、2年間1軍のマウンドから遠ざかった。それでも復活を信じて必死に前を向いた奥川。取り組んだのがフォームの改良である。目指したのは、バッターからボールの出どころが見にくいフォーム。左肩の開きをおさえ、右腕が体で隠れる形に調整した。打ちにくいフォームに変えることで力をセーブし、少ない球数でも打ち取れるスタイルを目指した。さらに復帰に向け、奥川投手が胸に抱くのがふるさと石川への思い。今年の正月は、自身も帰省中に被災。復興に向けて地元が立ち上がろうとする中、力を届けたいと考えている。1軍での登板はおととし3月以来。待ちわびたファンが迎える中、マウンドに立ったオリックス対ヤクルト。奥川は丁寧なピッチングを続けた。5回を79球で1失点。決して諦めない心でつかんだ980日ぶりの勝利となった。