大学の入学金“二重払い”について特集。議論となっている背景のひとつには、入試の在り方が多様化していることがある。合格発表を受けて入学金を年内に納める人も多い。こうした中、先月都内で入学金調査プロジェクトが会見を開いた。経済的に苦しい家庭の受験生の進路選択の幅を狭めないよう負担軽減策を速やかに進めてほしいと呼びかけた。辞退した人に返還されないが、2006年の最高裁判決では入学金は入学し得る地位取得の対価であり大学は返還義務なしとされている。ことし6月、文部科学省は初めて入学金に関する通知を出した。この中で、「額・時期など理解得られる説明を」「額の抑制を」「入学しないが育成への負担軽減策を」という3つのことを求めている。事態者の入学金が数億円規模のところもあり急な収入減は避けたいという大学も多いとみられる。入学金が返還されるとひとまず納入する合格者が増えて実際の入学者がどの程度か見通しが困難になるという声もある。桜美林大学・小林雅之特任教授は「入学金は日本独特のシステム。かつて受験の倍率は高く、大学側の都合にあわせた仕組みが慣習として続いてきた。今は少子化で大学は“選ばれる側”に変化。授業料や入学者をどう確定するかなど含め考える必要がある」としている。各大学の対応が注目されている。
