古込和孝さん(46)は動物の毛を一本一本繊細に表現する「毛彫り」の技術を持つ輪島塗の職人。石川・輪島市の自宅は地割れの影響で歪み、作業場も物が散乱したままの状態になっている。能登半島地震で輪島塗職人のほとんどが被災し、廃業を考える人も多いという。危機感を持った古込さんは職人仲間に声をかけ、百貨店で輪島塗の作品展を開くプロジェクトを立ち上げた。全国8か所で開催が決まり、輪島塗の職人たちが集まって人生初のインスタライブに挑んだ。名古屋栄三越でも職人の期待に応えようと準備が進んだ。OB・阿部政夫さん(68)は古込さんと15年来の付き合い。相談を受け、かつての部下に働きかけたことで開催が決まった。20日に行われた搬入作業には阿部さんと同期のOBが手伝いに駆けつけた。作品展は21日に初日を迎え、古込さんと阿部さんは一緒に店頭に立った。古込さん馴染みの客が購入するために来てくれた。