地方から大都市への人口の流出が続く中、栃木・那須塩原市の移住推進の取り組みに迫る。先月31日、地元・那須エリアの飲食店をはじめ、県内外から約40店舗が出店する夏祭り「黒磯日用夜市」が行われた。地域経済を活性化させ、新たな交流の場を生み出すことを目指して2015年に始まったイベントは移住者の発案から生まれた。発起人となった岡崎哲也さんは18年前に神奈川県から那須塩原へ移住。現在はカフェやベーカリーなど飲食店を経営。移住した那須塩原をもっと盛り上げたいとの思いからイベントを立ち上げた。今では2日間の開催で来場客は5000人以上。那須塩原市は移住促進に力を入れていて、2018年から7年連続で転入超過を記録(那須塩原市転入・転出人数の推移/出典:総務省)。移住先として注目を集めている。なぜ移住者が増えているのか那須塩原市・渡辺美知太郎市長は「テレワークが普及して転職しなくても移住できる時代になって豊かな移住ライフを送りたいという人が東京から増えている感じがする」と話した。コロナ禍を経てどこで暮らすかの選択肢が広がったことで移住者が増えているという。去年、市の移住促進センターへ相談後に移住した164世帯のうち約70%が東京圏から移住。移住2年目のスポーツインストラクター・野本恵さんは「新幹線とJR在来線の2つの選択肢があった」とコメント。東京駅まで新幹線で約70分と都内への通勤も可能な距離にあり、仕事を変えずに移住を検討できるのも魅力のひとつ。那須塩原市では都内への通勤者向け支援で最長5年間、年間最大12万円(月額最大1万円)の新幹線定期券の購入補助が受けられる。東京圏からの移住者には単身で60万円、世帯で100万円の助成金がある。更に18歳未満の世帯員1人につき100万円の加算補助が受けられる。子育て世帯の移住生活も力強く後押ししている。重視しているのは金銭面でのサポートだけではない。物価高による生活苦や通勤ストレス、待機児童問題など都市部が抱える問題により地方への移住に憧れを抱く人たちへそれぞれに合った那須塩原での暮らしを提案している。移住20年目の男性は那須塩原でパートナーにも恵まれ、人生を変えた。
住所: 栃木県那須塩原市大原間555
