徳島・神山町は四国山地の大自然に抱かれたおよそ4600人の小さな町である。20年前いち早くデジタル化に舵を切り、光ファイバー網を張り巡らせた。ネット環境が整うと都会の企業がサテライトオフィスを構えたのである。その数は15社であり仕事と人の流れが生まれ、奇跡の田舎と呼ばれている。そんな環境の中で唯一無二の「神山まるごと高専」は生まれた。10月5日には文化祭の準備が始まった。起業家を目指す学生にとって、大事な発表の場である。町の人たちも巻き込んで、大勢の客を呼び込もうとしていた。文化祭の運営にはアプリを活用することが決まった。その開発に手をあげたのが3年生の中本慧思さんで実績があり、アプリの力で寮の生活を一変させていた。中本慧思さんが開発したアプリの朝の点呼では36人が起きていると答えていた。アプリの名前は「DOME」で学校や寮への届け出を簡単にしていた。さらにこのアプリは共用の洗濯機や自転車の使用状況が一目でわかる。この「DOME」は学内コンテストで最優秀賞を獲得。ご褒美として去年の夏にはIDベンチャーの聖地であるカリフォルニアのシリコンバレーに派遣され、起業への思いを一掃強くしていた。文化祭用に開発するアプリは起業への足がかりだと考えていた。目玉の1つが店舗決済のキャッシュレスであり、納得いくものを作りたいが文化祭までは3週間を切っていた。それでもアプリの開発は1人でやるのが慧思さんのやり方であった。納得のいく品質で間に合わせることはできるのだろうか。神山まるごと高専には教員を含め40人のスタッフがいる。多くが神山町に移住してきた。その1人が神奈川県から引っ越してきた村山ザミット海優さんである。村山さんは以前に大手の広告代理店に勤務し、ドバイ万博では日本館をプロデュースした。その後は神山まるごと高専のイベントを手掛けたことをきっかけにヘッドハンティングされていた。自らの直感を信じて教育の現場に飛び込んだ。開校から3年、学生たちにずっと寄り添ってきた。
