- 出演者
- 長谷川博己
オープニング映像が流れた。
四国・徳島の山の中に経済界が注目する学校「神山まるごと高専」がある。3年前に開校したばかりの全寮制の学校でこの日は新学期の始まりとなっていた。学生の数はおよそ125人で日本全国から集まってきていた。どんな学校なのか理事長の寺田親弘さんは「起業家の育成に特化して必要なスキルや精神性も学べる」などと話した。日本は他の先進国に比べ起業する人が明らかに少ないという。ここは日本初の起業家を育てることを目的とした5年制の高等専門学校である。入学試験の面接では社会を自ら変えたいという思いも問われていた。いたのは倍率は約10倍の狭き門を突破した精鋭たちであった。5年間でテクノロジーとデザインを専門的に学び、新しい物を生み出す力を育んでいく。定期的に現役の経営者を招いた講義もあった。ヘラルボニーは兄弟で起業した会社で障害者の独特な感性に目をつけ、その作品を商品化している。学生たちには「モノをつくる力で、コトを起こす」ことが期待されている。すでに自らテーマを持ち、成果を出している学生もいた。3年生の藤原雪愛さんは中学時代からユニークな研究を続けている。それはウズラの有精卵をニワトリの卵の殻の中で人工的に孵化させるというものである。孵化はすでに成功し、大学からは共同研究を持ちかけられている。いつか人の不妊治療につながればと考えていた。1年生の3人組は脳波でモノを動かす研究をしていた。手足が麻痺しても考えるだけでモノを動かせる可能性を探っている。この学校の学費は実質無償であり、起業家を育てるという理念に賛同した11の企業が10億円ずつ資金を出していた。セコムもその1つで学生たちに学びの機会も提供する。若き起業家の卵たちは日本経済の新たな起爆剤となるのか。
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長谷川博己は「子どもたちのなりたい職業は時代とともに変化している。30年前には存在していなかった動画クリエイターやシステムエンジニアがあげられることも」などと話した。
徳島・神山町は四国山地の大自然に抱かれたおよそ4600人の小さな町である。20年前いち早くデジタル化に舵を切り、光ファイバー網を張り巡らせた。ネット環境が整うと都会の企業がサテライトオフィスを構えたのである。その数は15社であり仕事と人の流れが生まれ、奇跡の田舎と呼ばれている。そんな環境の中で唯一無二の「神山まるごと高専」は生まれた。10月5日には文化祭の準備が始まった。起業家を目指す学生にとって、大事な発表の場である。町の人たちも巻き込んで、大勢の客を呼び込もうとしていた。文化祭の運営にはアプリを活用することが決まった。その開発に手をあげたのが3年生の中本慧思さんで実績があり、アプリの力で寮の生活を一変させていた。中本慧思さんが開発したアプリの朝の点呼では36人が起きていると答えていた。アプリの名前は「DOME」で学校や寮への届け出を簡単にしていた。さらにこのアプリは共用の洗濯機や自転車の使用状況が一目でわかる。この「DOME」は学内コンテストで最優秀賞を獲得。ご褒美として去年の夏にはIDベンチャーの聖地であるカリフォルニアのシリコンバレーに派遣され、起業への思いを一掃強くしていた。文化祭用に開発するアプリは起業への足がかりだと考えていた。目玉の1つが店舗決済のキャッシュレスであり、納得いくものを作りたいが文化祭までは3週間を切っていた。それでもアプリの開発は1人でやるのが慧思さんのやり方であった。納得のいく品質で間に合わせることはできるのだろうか。神山まるごと高専には教員を含め40人のスタッフがいる。多くが神山町に移住してきた。その1人が神奈川県から引っ越してきた村山ザミット海優さんである。村山さんは以前に大手の広告代理店に勤務し、ドバイ万博では日本館をプロデュースした。その後は神山まるごと高専のイベントを手掛けたことをきっかけにヘッドハンティングされていた。自らの直感を信じて教育の現場に飛び込んだ。開校から3年、学生たちにずっと寄り添ってきた。
数日後の夜、村山さんはアプリを開発中の慧思さんと待ち合わせていた。町民の集まりに顔を出し、アプリの使い勝手を試してもらうのである。高齢者のカラオケ同好会の集まりであり自称歌はうまいがデジタル音痴の皆さんであった。アプリにはある仕掛けを用意し、AIを活用して蘇らせた若き日の顔で登録できるのである。つかみはOKであった。早速登録してもらうが、ここからが大変だった。10人ほどの登録が1時間経っても終わらなかった。慧思さんにとっては思わぬ誤算であった。これまで自力でアプリを開発してきた慧思さんだが大きな壁に直面したのである。
慧思さんと同じ1期生である3年生の中には進路について悩む人が増えていた。先輩がいないため、将来をイメージできないのである。井上明さんも1期生で自分が本当に起業家になりたいのか迷いを感じ始めていた。町の小さな居酒屋はスタッフの情報交換の場で話題は一期生が抱える不安についてであった。その頃慧思さんは気の合う仲間とキャンプをしていた。地元で進学していたら高校3年生であり、進路を選択する時期である。このまま起業家を目指したほうがいいのか誰も答えはくれなかった。
長谷川博己は「私たちの身の回りはちょっとした便利なもので溢れている。マーク・ザッカーバーグは大学在学中、学生同士がもっと簡単に交流できるようにするためフェイスブックを作った。ちょっとした便利なものが世界トップクラスのプラットフォームとなり、大きなビジネスとなる」などと話した。
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- フェイスブックマーク・ザッカーバーグ
起業家の育成を掲げる神山まるごと高専。学生たちの腕試しの場・文化祭まであと2週間となった。準備は着々と進んでおり、文化祭で使われるアプリを開発中の中本慧思さんに変化が現れたのはこの頃からである。声をかけたのがアプリ開発のメンバーであり、チームがあった。ミーティングは夕食を取りながらだがメンバーが集まってくれていた。アプリを使いやすくするため、協力を仰いだのである。仲間たちからいろいろなアイデアが出て村山さんもつきっきりになっていた。アイデアが膨らんでいき話し合うこと2時間、慧思さんは食べることも忘れていた。これから部屋に戻って追い込みとなる。
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- 神山まるごと高等専門学校神山町(徳島)
文化祭当日、結局アプリの修正は前日までかかってしまっていた。不安は的中し、村山さんも駆け出していた。
アプリの修正は前日までかかっていた。アプリには仲間から出たアイデアも採用し、各ブースの予約機能やその地図も加えていた。お金が絡むためミスは許されないが、アプリへの登録が当日に集中しパンクしてしまっていた。容量を増やすため急きょプログラムを書き換えていった。この日は学生だけでなく、町の人たちも出店してくれている。その数は50店舗以上であり、キャッシュレスで決済するためにはアプリが必要となる。お客さんが到着する前に何とか復旧ができていた。文化祭が始まりアプリを使わない人のために入場管理は紙でも対応する。プリペイドカードも用意し、これも仲間のアイデアであった。理事長の寺田さんも東京からやって来ていた。寺田さんも早速購入し「バージョンアップした。めちゃめちゃ気合を入れて準備してきたので感慨深い」などと話していた。慧思さんは歌っていたがこんなときも威力を発揮し、十二色に変化するコンサートライトとなっていた。2日間で1500人以上がアプリに登録し、大きなトラブルはなかった。文化祭の目玉は学生と町民が一緒になり、途絶えていた伝統行事の棒搗きを復活させることであり、棒を高く上げることが町の誇りであった。開校して3年で全国から集まった学生たちはしっかり神山の子になっていた。岡山市は慧思さんの故郷で久しぶりの里帰りとなり、家族団らんであった。慧思さんは4人兄妹の長男で起業家精神の芽生えは幼い頃まで遡る。自分の欲しかったものが買ってもらえない家だったため、自分でカードを書いたりおもちゃを自分で作っていた。欲しいものをむやみに買い与えないエンジニアの父・賢吾さんの方針であった。今回の里帰りは稼げるアプリのリサーチでもあり、学校の行事や連絡事項を伝えるプリントは社会見学のお知らせで弁当が必要となっていた。小学生2人が持ち帰った一月分のプリントは結構な量となっており、アプリを使ってプリントを整理しようとしていた。秋も深まった11月中旬、稼げるアプリを作りたいと慧思さんは仲間を募った。進路に悩んでいた井上明さんも一緒にやりたいと手をあげてくれていた。調べてみるとすでに同じサービスを展開する会社もあった。少しずつ開発を進めていたアプリは「デジアクト」と名付けた。慧思さんがそのアプリを持って向かったのは近くにある神山中学校である。今回が3度目の売り込みとなっていた。このアプリは連絡事項が日付別に整理され、見落としが防げ紙の配布さえ不要となる。まずは先生たちが試すこととなった。そんな中突然大きなチャンスが舞い込んできていた。
12月中旬、慧思さんに嬉しい知らせが届いた。大分県のイベント会社から仕事の依頼となっていた。今年3月に開かれる子どもの仕事体験イベントに文化祭用に開発したアプリが採用されたのである。予算は40万円であり、初めてビジネスにつながった。起業することは夢ではなくスタートであり、仲間やスタッフとともにスキルを磨き自分の道を切り開いていく。
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- 神山町(徳島)
長谷川博己は「新しい時はいつもちょっとした気づきから始まります。不便・違和感そして好奇心。日常の中で生じた小さな感覚を見過ごすか形にするか。ちょっとした気づきを行動に変える。それが起業への第一歩です」などと話した。
「ガイアの夜明け」の次回予告をした。
「ワールドビジネスサテライト」の番組宣伝。
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