- 出演者
- 長谷川博己
オープニング映像。
香川県・直島、いくつもの芸術作品が展示され去年は世界中から74万人が訪れた。“アートの島”として知られている。もう一つの顔が、三菱マテリアル直島製錬所。日本でトップクラスの製錬工場。創業は大正6年、当時工業化を進めていた日本では大規模な製錬所が必要となり、九州や関西の工業地帯にも近い直島が選ばれた。そんな宝を生み出す島に向かうのは、三菱マテリアル資源循環事業部の古賀沙織さん。見せてくれたのは、冷蔵庫やテレビなど使用済み家電から回収した電子基板。都市鉱山とも呼ばれる。直島では鉱石だけでなく、都市鉱山からも金属を取り出している。
金製品の展示会では、純金で作られたミニカーが約930万円。最大の目玉は、大谷選手の黄金像。1550枚の金箔が使われ価格は5500万円、すでに3体以上売れているという。金の価格は現在1g22000円台、5年で3倍以上も跳ね上がった。今後の値動きについて専門家は、この業界に39年いるがこんなに極端な上げ方をするマーケットは初めて。長い目で見たら、金は絶対に上がっていくと話した。
東京・丸の内に三菱マテリアルの本社はある。古賀沙織さんが2週間ぶりにやって来た、普段は奈良市に住みリモートワークで働いているという。高校生の時に環境について興味を持った古賀さん、修士論文も汚染された土壌を生物などの力を借りて改善するという研究だった。入社3年目で、技術士の資格を取得。現在は6人のチームを率いる古賀さん、リサイクルに興味があるメーカーを回り、一緒に事業を進められないから提案している。
古賀さんが直島に顔を出すのは年に3~4回。この日は、現在進めている電子基板のリサイクル現場の視察にやって来た。開業当初から100年以上、銅の製錬をしている直島工場。電子基板を細かく砕くなどして、まずは金属の板を作る。銅を電気分解した際に沈んだ、金・銀のもとを取り出し、それぞれわけて抽出していく。すると純度99.99%の金や銀に生まれ変わる。しかし、日本では製錬に必要な電子基板の回収は進んでいない。日本の家電回収率は、リサイクル法で義務化されている4品目で70%。小型家電は回収率13%程度。回収が進まない理由について専門家は、家電リサイクル法だとお金を払う必要があるため、「無料で引き取るよ」という人がいる。手間をかけずに家電を集めて輸出して、輸出先でゴミとして捨てられるということになりかねないとのこと。
太平洋とインド洋を結ぶマラッカ海峡。古くから海上交通の要衝で、今も多くの船が行き交う。海峡に面したマレーシア最大の貿易港、ポート・クラン。この港を通じて、マレーシアに海外からの家電ゴミが違法に持ち込まれている。廃棄物の不正な輸出入を監視する、国際的NGOの調査員、ウォン・プイ・イーさん。見せてくれたのはポート・クラン周辺の地図、マーキングされた場所はプイ・イーさんが6年間に渡って調べ上げた電子廃棄物の投棄場所や処理工場の位置。“ホットスポット”と呼ばれるその場所は、塀で囲まれた作業場で電子廃棄物から金などを取り出す処理が違法に行われているという。
クラン市の環境局にやって来たプイ・イーさん。多くのホットスポットを抱えるこの地域の実態を調査しに来た。迎えてくれたのは局長のリザールさん。この日、クラン市環境局の職員に案内されたのは、廃棄物の不法投棄場。一見土のように見えるが、よく見ると細かく砕かれたプラスチックが大量に含まれている。捨てられているのは、電子廃棄物から基盤などを抜き取った後のプラスチックの残骸。内部にこもった熱で自然発火する場合もある。辺りには恒に異臭が漂っていた。プイ・イーさんは住民から話しを聞きたいと探し回り、ヤシ農家のムハマド・マスロブさんに話しを聞くことができた。5年ほど前から廃棄物が増え始めたという。
直島で製錬工場を営む三菱マテリアルの環境面への配慮について、今が良くても未来がどうなのか考えないといけないと思っていて、仮に今やりすぎだとしてもそれくらいでちょうど良いと古賀さんは言う。まず基板の処理では高性能な炉で処理し、塩素や臭素を除去している。次の工程では、3つの炉を管でつなぎ二酸化硫黄ガスを漏らさずに回収し環境への負荷を最小限に留めている。
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- 三菱マテリアル 直島製錬所直島(香川)
大阪・中央区。製錬に必要な電子基板の回収に奔走する三菱マテリアルの古賀さん。やって来たのは、パナソニックETソリューションズ。パナソニックグループの資源循環を推進する会社。ここに古賀さんが頼りにしている基板集めのキーマンがいる、それが田島章男さん。田島さんはパナソニックで20年以上資源循環事業に取り組む業界の大先輩、古賀さんとは10年来の付き合い。1981年にパナソニックに入社した田島さん、根っからの技術者だった田島さんの人生の転機は、使わなくなった家電をメーカーが引き取る家電リサイクル法の施行だった。初めて訪れたリサイクル工場で価値観が大きく変わったと言う。そして今は、基板の素材的価値を知る男となっていた。さらに新たなしくみのカギとなるのは、製錬委託。そのためにパナソニックと三菱マテリアルは手を組むことになった。
田島さんは今、2社だけで取り組むPMPループに他社も巻き込もうと奔走している。この日やって来たのは、愛知県半田市にある小型家電のリサイクル企業。これまで何度も交渉を重ねてきたが、そう簡単には話しは進まない。多くの企業にはすでに付き合いの長い処理業者がいるためだった。この日も交渉に向かう田島さん、どんなに遠くても直接足を運ぶ。面談は1か月に10件以上。かつてはパナソニックETソリューションズの社長まで勤めたがすでに定年、それでも会社に籍を置き現場に立ち続けている。
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- 半田市(愛知)
10月下旬、神奈川県相模原市。独自の資源循環の仕組み“PMPループ”への参加企業を探している、パナソニックETソリューションズの田島さん。この日は、大阪からやって来た。この日の相手はどうしてもタッグを組みたい企業。元々富士通のリサイクル部門の子会社だった、アンカーリサイクルポート。パナソニックと業務上のつながりが深い富士通が、PMPループに興味を持ってくれた。この会社では、主に富士通製の使用済みのパソコンやサーバーなどをリサイクルしている。この会社との交渉は4回目、富士通本社の社員も同席している。富士通は電子基板を特定の処理業者に売却しているが、パナソニックのPMPループに参加して金属を回収することを真剣に検討していた。そこで田島さん、今回は富士通が処理業者に売っている価格より高い金額で買い取ると提案した。金属の回収量によってはパナソニックは赤字になる可能性もあるが、それでも試してもらうことを優先した。思い切った提案が功を奏し、初めての取引が成立した。
11月上旬の大阪、パナソニックETソリューションズの田島さんは、富士通との契約がまとまった喜びを三菱マテリアルの古賀さんと分かち合っていた。
エンディング映像。
「ガイアの夜明け」の次回予告。
「ワールドビジネスサテライト」の番組宣伝。日中対立も…中国イオンモール開業。
