NHKニュース おはよう日本 (ニュース)
病気や災害で親を亡くした子どもなどを支援しているあしなが育英会が、奨学金を受けている家庭の保護者を対象に、物価高の影響などについてアンケート調査を行ったところ、9割を超える人が収入が物価上昇をカバーできていないと回答するなど、厳しい現状が浮き彫りになった。アンケートに答えた千葉県に住む50代の女性は、15年前に夫を病気で亡くし、今は高校3年生の娘と2人で生活している。女性は化粧品販売を営んでいるが、コロナ禍の落ち込みから回復せず、そこに物価高が追い打ちをかけている。生活費は遺族年金を合わせて月20万円前後。娘が育英会から受けている月4万円の奨学金は、進学のためにできるだけ残したいと考えている。食費は月3万円以内に抑え、1日2食で過ごす日も少なくない。入浴も2日に1回に減らし、光熱費や水道代を抑えている。育英会の調査に回答した人の世帯所得は、300万円未満が72.3%を占め、物価上昇分を収入でカバーできないと回答した人は94.2%に上った。第一生命経済研究所・首席エコノミスト・永濱利廣氏は「最近の物価上昇は食料やエネルギーといった生活必需品の値上がりが中心、(低所得者ほど)出費に占める割合が高いのでより負担感が高まっている。物価が上がると政府は税収も増えるので、低所得層の方々に再分配を強化する政策が求められてくる」と述べた。