モーサテ プロの眼
今回のテーマはアメリカからの資金流出での「米国一強時代の終焉か?」についてUBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの青木さんが解説する。米国株式で見ると2020年から2024年までは世界株に対して72%アウトパフォームしていたが、2025年に入ってからは15%アンダーパフォームしている。通貨に関しても上昇し続けていたドルが相互関税の発表後は各国に対して下落し続けている。その背景には、米国景気悪化懸念や中国によるドル売り懸念、財政の赤字不安が信用リスクにつながっている。これらのことが米国からの資産流出を促しているとみている。そしてアメリカの消費に占める輸入財の割合を見てみると約30%程度となっているが全産業でみる輸入財の割合は9.8%にすぎない。ということはCPIは輸入財の割合と価格上昇率を掛け合わせるので約2%と見込まれる。つまり一時的には景気後退と見なされるリスクは有ると思うが、それでも近機関が破綻するようなリーマンショックや需要がなくなったコロナのときのような深刻な景気後退とはならないと見ている。年末まで想定すれば前年比で見た成長率はプラスになると予想そている。次に米国長期国債の保有額の推移から見るに中国は年々保有額を減らしているが、その一方で日本やユーロ圏、その他の欧州各国は保有額を維持もしくは増やしているので中国の売りを相殺している。最後に財政赤字については、コロナ以降は5兆円規模の財政出動を行っていてその結果債務残高の対GDP比は昨年末で約124%まで拡大してきている。しかしこれも過去の流れを見てみると中国やBRICSの台頭によって財政出動を余儀なくされたときでもドル指数は上昇しており今後もドルに替わる通貨は見当たらないと考えていると話した。