モーサテ チャイナエコノミー
テーマ「不動産市場回復のカギと全人代の注目ワード」。全人代でのハイテク産業支援強化や財政赤字への対応策などの政策期待がプラスに働く一方で米中貿易摩擦やトランプ関税などの不透明感や伴う景気先行き不安から一進一退の展開。証券各社の4月の予想レンジの紹介。岡三証券は急激な株価情報の反動が出る可能性を指摘。1−3月期のGDPは貿易摩擦により減速する可能性が大きい。東洋証券はトランプ関税の引き上げの可能性があるが1−3月期GDPは5%前後。上海は内需に押されてゆるく上昇。香港は利食い売りの可能性があるとしている。小売売上高は1−2月4.0%のプラス(前年比)。みずほ銀行・伊藤秀樹氏は「去年からの消費支援が今年も継続したことで回復モメンタムは継続。携帯電話などの通信機器は↑26.2%、中古不動産取引の持ち直しや消費支援策で家具の買い替え拡大に寄与している。自動車は前年割れ。国内販売台数は前年を上回るが単価の低下は示唆される。鉱工業生産・サービス用ロボットは149万4034台(↑35.7%)。掃除や介護などの家庭用、医療、運輸といった工業サービス分野のロボット。産業用や工業用とは区別。政府の方針としてハイテク製造業の強化に加えてサービス産業の発展方針などに関わってくる」などと述べた。
主要70都市の新築住宅価格の動向を紹介。去年9月以降、主要18都市では右肩上がり。しかし、2月は減った。みずほ銀行・伊藤秀樹氏は「春節休暇の影響によって販売が滞った。価格が上昇した都市の減少については地方都市に偏っている。地方における新築販売は去年から対策は打たれているが一進一退。国全体の1−2月の新築販売不動産面積を見ると前年比−5.1%。中古市場については状況は異なる。中古不動産販売面積を見ると全体的には拡大傾向。新築住宅販売の際には完成の前から支払いが始まる。ディベロッパーの工事遅延リスクがある。中古住宅については現物販売なためそのようなリスクはない。新築に比べて活況。昨年からは規制緩和に比べて住宅ローンの引き下げなどが行われて加速している。ただ地方別にみると1線都市は2023年に比べて2割、2線都市は1割程度上回っている。3線都市については2023年にとどまっている。不動産回復のプロセスとしては中古販売の回復、新築販売の回復、価格の安定化、在庫処理を経て新規の不動産投資への持ち直し。販売が堅調な1線都市や一部の2線都市については今後は価格の安定化が続く。GDPの成長に寄与するのは新築不動産への投資なため本格回復にはまだ時間がかかる。不動産完成在庫だけでも年間販売面積の約8割相当の規模が積み上がっているので回復のペースは緩やか」などと述べた。
今月の全人代が開かれた。実質GDP成長率目標は5%前後と発表された。政府活動報告・施政演説方針に出てきたおよそ40の主要なワード。昨年より顕著に増えたのは改革、開放に加えて経済、消費、安定が増えた。みずほ銀行・伊藤秀樹氏は「消費は政府活動報告の重点活動任務の中でトップに掲げている。安定については貿易などで使用。アメエリカ・トランプ政権による対中関税を意識して安定化の措置をとっていく」などと述べた。今年新たに出ていたきたのはゼロベース予算。みずほ銀行・伊藤秀樹氏は「去年より地方の隠れ債務を正式な地方債に置き換える。地方政府における債務の負担、利息の負担を図っていく措置をとっている。前例にとらわれずゼロベースで無駄を削減する。地域経済にとって有効な支出につなげる狙いがある」などと述べた。また初めて登場したのは6G、スマートロボット、身体性知能、人への投資、ユニコーン企業。みずほ銀行・伊藤秀樹氏は「EVの普及などを見てもわかるように中国のテクノロージーやハイテク分野をめぐる国家主導の取り組みに加えて民間企業の発展は目を見張る。産業政策育成を進める様子がうかがえる。以前より製造力や技術を高める動きを進めている」などと述べた。午前7時8分後ごろ~モーサテプレミアムで全人代から見えた経済の方向性について解説