首都圏ネットワーク (ニュース)
バスの運転手不足による路線の廃止や減便が相次いでいる。こうした問題は都市部にも及んでいる。人口134万人の政令指定都市さいたま市でもことし3月、路線バスが廃止された。急きょ、乗合タクシーが導入され住民の足は確保されたが生活への影響が出ている。さいたま市岩槻区の駅前の停留所に来たのが路線バスから代わった乗合タクシー。こことJR宇都宮線の蓮田駅を結んで4月から運行されている。3月まで走っていたのは大型の路線バス。乗客は減っていたものの、年間6万人余りが利用していた。路線バスが走っていたのはさいたま市の大宮駅から8キロほど離れた岩槻駅と蓮田駅の間。住宅や物流施設が点在するおよそ6キロの区間を一日10往復ほど運転されていた。しかしバス会社は運転手不足の深刻化や収支悪化を理由に廃止を決定。このままでは交通空白地区になってしまうとしてさいたま市は代わりのバス会社を探したが、難航する。そこで急きょ乗合タクシーとして地元のタクシー会社に運行してもらうことになった。乗合タクシーになっても料金や停留所、便数は大きくは変わらないものの、不便になった部分もある。運行されるワンボックス車の定員は僅か9人。荷物置き場はなくスーツケースやベビーカーを乗せるのは一苦労だ。通勤時間帯には乗りきれないこともしばしばで、その場合は別のタクシーが駆けつけている。また乗合タクシーの運行はさいたま市のガイドラインで原則、平日のみとなっていて土日祝日の運行がなくなった。その影響を受けている人もいる。岩槻区に住む87歳の細井洋は数年前に運転免許を返納。買い物に行くため2、3日置きに乗合タクシーを利用している。土日の運行がなくなったため毎週金曜日にはスーパーに食料をまとめ買いに行くのが欠かせなくなっている。荷物をたくさん運べるようにと新たにキャリーバッグも購入した。一方、乗合タクシーを運行するタクシー会社はぎりぎりの態勢でのスタートとなった。なんとか専任の運転手2人を確保して間に合わせたが安定的な運行のためにほかの運転手がカバーできるよう今も研修が続いている。さいたま市内ではほかの路線バスでも減便が相次いでいて市は対応を迫られている。乗合タクシーについてさいたま市と蓮田市は今年度を実証期間と位置づけていて赤字分を負担するとともに利用状況を踏まえて今後の運行体制を検討していくことにしている。